ロールオーバーによるマイナスの影響

CRB商品指数の推移(2000年1月~2020年9月)

出所:CRB社(Commodity Research Bureau)のデータを基にマネーブレインが作成

 しかし、順調に推移してきた商品指数も、リーマンショックで急落します。また、商品指数独自の仕組みがマイナス方向に作用していきます。

 どういう仕組みかというと、商品指数は商品先物の価格を基に計算されているので、組み入れている限月が最終取引日を迎える前に、次限月に乗り換えていくというロールオーバーを行っています。その際に、直近限月よりも次限月のほうが価格が高い状態であると、価格の低い直近限月を売却して、高い次限月を買うことをするので、損失(ロス)が発生してしまうのです。

 2004年頃からは、直近限月よりも次限月のほうが高い状態が常となっていて、商品指数への投資パフォーマンスにマイナスの影響を与えてしまっています。

 実際に、CRB商品指数の構成品目をみてみると、WTI原油は2000年に25ドル近辺、現在は40ドル近辺で+60%程度、NY金は2000年に300ドル近辺、現在は1,900ドル近辺で6.3倍程度になっているのに対し、CRB商品指数は170ポイント近辺から150ポイント近辺と下げています。ロールオーバーによる影響だけではありませんが、商品指数が、実際の商品価格とは連動しておらず、かつ、ロスが大きいことを理解いただけるでしょう。

 リーマンショック後にもコモディティへの投資の動きはありましたが、このロールオーバーのマイナスの影響が認知され、現実にパフォーマンスが低下していく中で、その動きもなくなってきます。

 結果として、商品指数連動型への投資はインフレヘッジにならず、分散投資の効果もなく、パフォーマンスも悪いという、当初コモディティ投資に期待していた真逆の結果となり、ついにカルパースも2014年に商品指数連動型への投資からの撤退を検討、その後実際に撤退する形となりました。