株反発、ドル堅調推移でも、金相場は底堅く推移。“有事のムード”が支える

 この数週間、金相場は反発色を強めています。また、株価は反発、ドルは堅調に推移しています。“代替資産”の側面で株価反発は金相場の下落要因、“代替通貨”の側面でドル高止まりは金相場の上値を重くする要因です。

 金は“株と逆相関”、“ドルと逆相関”、という言葉を耳にすることがありますが、それらを考慮すれば、足元、金相場は大きく下落していてもおかしくはありません。しかし、9月下旬に反落した後、金相場は、株価につられるように反発しています。

図:NY金先物、NYダウ、ドル指数の推移(9月16日を100として指数化)

出所:ブルームバーグより筆者作成

 なぜ、“株反発”、“ドル堅調推移”、でも、金相場は反発しているのでしょうか。筆者はこの問いについて、以前より本欄で書いてきた、“金市場には5つのテーマが同時に作用している”という考え方に基づけば、現在は、5つの中の1つである“有事のムード”が、“株反発”(代替資産の側面での下落要因)、“ドル堅調推移” (代替通貨の側面での上値を抑える要因)という逆境の中で、金相場を支えていると考えられます。以下より、金相場を支える“有事のムード”について、深掘りしていきます。