米国大統領選挙までいよいよ1カ月余り

 米国大統領選挙まで1カ月余りとなってきました。そして米国のみならず世界中が注目しているテレビ討論会がいよいよ始まります。

 第1回討論会は9月29日ですが、9月末という月末、四半期末、半期末の季節要因が加わり、マーケットではこの討論会の前に株式や為替、資源などのポジション調整が見られたようです。

 ドル/円でいえば、106円台から104円近辺まで売られた後、株や他の通貨の調整、資源価格の急落などの影響を受けて、105円台に戻すという自主性のない動きとなっています。当面は、105円を挟んだ動きが続きそうです。

 さて、テレビ討論会は9月29日の第1回を皮切りに、10月7日(副大統領候補)、15日、22日と討論会が続きます。10月のマーケットは、これら討論会の結果を見ながら一喜一憂する動きとなりそうです。

米大統領選挙の日程

9月29日 トランプ氏とバイデン氏の第1回討論会
10月7日 ペンス氏とハリス氏の討論会
15日 トランプ氏とバイデン氏の第2回討論会
22日 トランプ氏とバイデン氏の第3回討論会
11月3日 米国大統領選挙
12月14日 選挙人による投票。538人の過半数270人を得た候補が当選
2021年1月6日 連邦議会で開票。当選者が正式決定
1月20日 大統領就任式

 第1回目討論会の9月29日(火)は、日本時間では30日の午前中に行われるため、このコラムがリリースされている頃には討論会の結果が出ているかもしれません。

 しかし、1回目の討論会だけで決定的となるわけではなく、2回目、3回目と違うスタイルで討論会が行われるため、それぞれの回を注目する必要があります。討論会では各種テーマが討論されますが、討論内容だけでなく、見た目や表情、しぐさといった候補者の人柄などを手がかりとして大統領にふさわしいかどうかも、視聴者は注目しています。初のテレビ放映となった1960年のニクソンvsケネディ候補の討論会では、病みあがりで顔色が悪いニクソン候補に対し、若々しさを印象づけたケネディ候補が勝利しました。

 今年は特に、バイデン氏の大統領候補としての適格性が注目されています。保守系メディアは高齢のバイデン氏の政権担当能力を執拗に疑問視しています。トランプ米大統領もバイデン氏を「寝ぼけたジョー」と呼び、思考回路や行動が遅いと主張してきました。

 そして、バイデン氏はこの6カ月間、今回の討論会よりも長い時間、テレビで生出演したことがないそうです。原稿読みが多い中で果たしてバイデン氏は、討論慣れしたトランプ大統領の猛攻に対して、たじろぐことなく、冷静沈着、頭脳明晰な印象を視聴者に与えることができるのかどうかに注目です。

 少しでもさえない姿を見せた場合、バイデン氏の当選確率は下がるでしょう。また、1回目を乗り切ったとしても、2回目も3回目もそのエネルギッシュさを維持する必要があります。全てを乗り切れば、納税問題が浮上しているトランプ大統領に対して、バイデン氏はかなり優位になりそうです。逆に、1回目、2回目を乗り切っても3回目で息切れとなれば、最後の印象が決定打となります。