ルース・ギンズバーグ判事の後任問題
9月18日、米国最高裁のルース・ギンズバーグ判事が死去しました。彼女は女性の権利の擁護にたいへん功績があり、民主党、共和党という党派を超えて、広く米国民から尊敬を集める存在でした。そのため、彼女の後任の指名問題が突如、浮上しています。
最高裁判事は一度任命されると生涯任期が切れることはありません。これは、最高裁判事がその時々の政治の風向きに左右されず、また解任されることを心配せず、正しい判断を下すことができるようにという配慮によります。
このように最高裁判事の人選は遠い将来に向けての重要な決定になるため、これを目前に迫った大統領選の前にバタバタと決めてしまうのは国民の支持は得にくいのです。
通常、最高裁判事の人選には70日程度の日数をかけ、じっくりと進められます。今回は45日しか残されていないので「性急なことはしないで!」と願う国民も多いのです。
一方でトランプ大統領は、来週にも代わりの最高裁判事の候補を発表すると言っています。またそれを承認する立場にある上院共和党も「大統領が指名する候補を可決承認する票数はそろっている」ことをシグナルしました。
つまり代わりの人選が強行される可能性が高いのです。
その場合、米国民は来る11月3日の選挙でそれに抗議し共和党に反対票を投じる可能性があります。つまり、みすみす共和党の息のかかった最高裁判事の任命をごり押しすることで、トランプ大統領、そして今回改選される上院の3分の1の代議士は自らの再選をリスクにさらすわけです。
これはとりもなおさず政治リスクが高まったことを意味し、投資家はそれを嫌気すると考えられます。