株式投資で多くの個人投資家が思うこと、それは「できるだけ高く売る」「できるだけ安く買う」。でもそれにこだわり過ぎると、大きな痛手を被るかもしれません。

株価の「最大瞬間風速」とは?

 株価チャートを眺めていると、株価がある時点で底値をつけたり、天井をつけたりしていることが分かります。これを見て、「ああ、あの底値で買えていたらなぁ」とか「あそこの最高値で売れていたら、よかったのになぁ」と思う方も多いのではないでしょうか。底値や天井はそれぞれ、まさに株価の「最大瞬間風速」といってもよいでしょう。

 でも、底値で買いたい、天井で売りたいという気持ちを強く持ちすぎると、逆に大きなミスにつながりかねない点は十分注意しなければなりません。

最安値や最高値を意識し過ぎることの弊害(その1)

 最安値や最高値を意識し過ぎると、いくつかの弊害が生じます。その一つが、株価が値下がりしている途中に逆張りで買い向かったり、株価が値上がりしている途中で売ってしまったりすることです。

 2~3月のコロナ・ショックとその後の反発の際は、まさにこの弊害が生じやすい環境でした。

 日経平均株価が2万4,000円から、1万6,500円まで大きく値下がりする間、多くの個人投資家は「そろそろ底打ちするはず」と予想して、日経平均株価が2万円を大きく超えているときから逆張りで買い向かいました。

 ところが、そこでは全く下げ止まらず、さらなる急落となりました。その結果、パニックになり安値で売ってしまって大きな損失を被ったり、多額の含み損を抱えた塩漬け株を作ってしまったりする個人投資家が続出したのです。

 逆に、4月以降の株価急反発時も、「そろそろ株価は天井をつけるだろう」と予想して株価上昇途中に売却した個人投資家が大部分でした。しかし、株価は天井をつけるどころかそこから2倍、3倍と上昇を続ける銘柄が続出しました。結局、天井ははるか上の水準となり、大きな利益を得る機会を逸してしまったのです。