税もあなたの資産形成に生じる「コスト」だ

 もちろん、所得控除が認められる資産形成と比較するという発想であれば、「小規模企業共済」「国民年金基金」も同様のメリットがあり、かつ手数料なしです。

 そして、この2制度と比較した場合は、iDeCoのほうが手数料のある分、不利となり、その分を運用で稼げるかどうかの比較となります(小規模企業共済や国民年金基金は個人の運用選択の余地がない)。

 また、受取時課税の問題もあります。拠出期間などをベースに、退職所得控除などの非課税枠を得ますが、他に退職金・企業年金などを受けたりすると、非課税枠は共有される考え方になるので、出口で課税をされる可能性があります。ただし課税分については2分の1課税になりますし、また現役時代の給与所得への課税と比べれば、拠出時に生じたはずの税率以上にかかることはないでしょう。

 税は、あなたの人生に生じる「コスト」であることは間違いありません。社会システムに参加している一員として、定められた範囲で税を納める義務を負っていますが、同時に法のゆるす範囲で納税額を少なくすることを試みることはおかしな話ではありません。

 特に会社員にとっては住宅ローン減税とiDeCoくらいしか所得控除を得られる枠はなく(小規模企業共済や国民年金基金は自営業者や中小企業経営者が利用する)、このメリットを利用しない手はありません。