売買代金ランキング(5銘柄)

1 PSS(7707・東証マザーズ)

 売買代金が急増したのは、戻り高値を付けた4日まで。この日の出来高2,018万株は、今年最大でした。7月後半に、新型コロナ検査用全自動PCR検査装置とPCR試薬を8月から販売開始すると発表。そこから始まったリバウンド局面で商いを膨らませましたが、上昇モメンタムが途絶えると売買代金は急減しました。上がるなら買う、という短期勢の信用取引が中心だったと言えます。

 市場の関心は、28日に予定していた本決算発表に。「全自動PCR検査装置が同社業績にどういう影響を与えるか?」2020年6月期の着地数字、そして2021年6月期の業績予想に大いなる期待が乗っていたのですが…会社側が発表した2020年6月期は売上高が15.7%増の50.6億円、営業損益は0.8億円の赤字(前期は1.6億円の黒字)。通期予想は、売上高が52%増の77億円、営業利益5億円の黒字でしたが、市場の大いなる期待は下回ったということのようです。発表翌日31日は前日比▲18.9%の急落に。

2 BASE(4477・東証マザーズ)

 コロナ禍の巣ごもり消費、ECシフトのメリット銘柄として株価が急騰していたBASE。「さらに高値があったのか」という衝撃の展開で8月も月間40.9%の値上がり。株価は大台1万円乗せも果たしました。3月末の終値は1,089円ですので、5カ月でほぼテンバガー、時価総額も2,000億円に迫るマザーズの主力銘柄に変貌しました。

 14日に発表した2020年6月期中間決算は、売上高が前年同期比2.2倍、営業損益が6.12億円黒字(前期は1.3億円の赤字)の好決算でした。コロナ禍でショップ開設数、流通総額が大幅に伸びたようです。さらに、通期予想も大幅増額。売上高予想のレンジ上限を従来の55.4億円から81億円に引き上げ。17日にオンラインで開催した決算説明会で、さらなる成長への意欲を示したこともあって、機関投資家も巻き込んだ相場になっているような凄みを感じます。

3 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 日本でいう巣ごもり関連銘柄は、米国では「ニューノーマル銘柄」と呼ばれているそうです。コロナによる社会構造変化を好機とする大型テック株が驚くほど上昇する地合いにあって、日本のマザーズ時価総額トップのメルカリはど真ん中銘柄と認識されたのだと思われます。海外ファンドの大量保有報告もありましたので、機関投資家も参戦していたのは間違いないでしょう。

 6日に発表した本決算では、2020年6月期の売上高が前期比48%増762億円と、市場コンセンサス上振れ。とくに日本国内の流通総額が下半期から成長率を再加速させたようです。2021年6月期の期初予想は「未定」ですが、会社側では流通総額を国内で前期比20%以上、米国で50%以上の増加を想定していると。この決算を受けて、翌日の株価は+10.9%の想像絶する好反応。アナリストも米国での流通総額の急拡大がポジティブサプライズと評価していました。2018年6月のIPO直後に付けた株価6,000円が上場来高値…この値段に接近する展開になるとは、これが一番のサプライズです。

4 ジーエヌアイグループ(2160・東証マザーズ)

 コロナ禍では創薬ベンチャー株は不人気(ワクチン開発系除く)だったこともあり、ひさびさの覚醒といった8月の急騰劇でした。きっかけは、17日に発表した肝線維症治療候補薬のパイプライン「F351」に関するグッドニュース。フェーズ2試験が完了し、初期段階分析で良好な結果を得たと。この結果を踏まえた戦略的な方向性は9月下旬から10月初旬をメドに提示するようです。

 バイオベンチャーにとって一番の好材料に反応し、翌日から2日連続でストップ高。全株一致した20日の出来高1,508万株は、2017年6月20日以来の大商いでした。時価総額が1,000億円を超える創薬ベンチャー、これだけの急騰と大商いが発生したというのは、一見するとプロの買い(空売り買戻し含め)が相当入っているふうに見えます。ただ、実際は、ほとんど個人の信用取引だったようです。東証が27日から信用規制をかけました。つまりは買い注文の多くが信用の新規買い分だったということ。日本の個人投資家、凄まじい…。

5 GMO-FG(4051・東証マザーズ)

 店頭決済システムの運営を主力とする7月に上場したばかりの直近IPO銘柄。GMO冠する社名で分かるようにGMOグループですが、GMOの子会社のGMOPGの子会社(GMOの孫上場)です。公開価格は2,540円で、初値は2.5倍の6,550円。直近IPO株人気の波に乗った面が大きいとはいえ、初値の2倍近くまで上昇したのは圧巻でした。

 上場後の最初の決算発表は重要(業績予想の信頼度が問われるため)ですが、同社は11日に2020年9月期予想の上方修正を発表。売上高を従来予想の32.1億円から36億円へ、営業利益を3.3億円から4.5億円へ大幅増額しましたので、今後の決算発表にも期待感がつながりそうです。