足りない!足りない!全然足りない!

 新型コロナウイルスによってアメリカ経済が停止状態に追い込まれた結果、同国の労働市場では、2月と3月だけで2,155万人もの雇用が失われました。しかし、もっと驚いたのは、そこからの回復の速さです。たった2カ月のうちに750万人も雇用が戻りました。

 この数字を見てトランプ大統領は大喜びしたでしょう。大統領選挙まであと4カ月。このまま月平均375万人のペースで雇用が増えてくれるなら、375万人掛ける4で1,500万人、それに750万人を足すと2,250万人。なんと、11月の大統領選挙までに、コロナで失われた雇用を全部取り戻すことがではないか! これは強力な選挙アピールになる、と。

 もちろん、それは捕らぬ狸の皮算用で、7月の雇用者数は176万人にとどまりました。これでも大幅増加には違いありませんが、いかんせん現時点では2月の水準をまだ1,200万人超下回っています。そして今回の予想は135万人。トランプ大統領としては「ダメだ!ダメだ! 経済を止めてなんかいられない!」と焦りがあったと思います。