ビットコイン先物の取組高が新型コロナ・ショック後、増加が鮮明に

 CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物市場で、新型コロナ・ショック時に大きな変化が生じたことを確認ができます。以下は、同市場の取組高の推移です。取組高とは、未決済の建玉(たてぎょく)の数量のことで、その時の市場規模の大きさを示すバロメーターとも言えます。

図:CMEビットコイン先物の取組高の推移 単位:枚

出所:CFTC(米商品先物取引委員会)のデータをもとに筆者作成

 ビットコイン先物の取組高は、新型コロナ・ショックを境に大きく増加しています。2017年12月の上場後、取組高は大きく増えず、メジャーな銘柄とはいえませんでした(NY原油先物の取組高の20分の1程度)が、新型コロナ・ショック後、状況が変わりました。

 先述のとおり、取組高とは、市場規模の大きさを示すバロメーターと言えます。CMEという世界最大級のデリバティブ(金融派生商品)取引所で、取組高が増加しはじめたことは、ビットコインが、徐々にそして着実に、世界の金融市場で、一つのれっきとした銘柄として、認知され始めたことを示唆し、ビットコインの必要性が増してきていることを意味していると言えます。

 少なくとも、新型コロナ・ショック前よりも後の方が、世界がビットコインを歓迎し、必要とするムードは強まったと言ってよいと思います。

 また、CMEという公設の市場の取組高が増加していることを考えれば、いわゆる“交換業者”と呼ばれる業者との取引にはない、一定のルールで管理されたビットコインの取引を求める動きが強まっていると、言えます。

 CMEビットコイン先物の取組高の変化の背景を追うことが、金価格とビットコイン価格の連動性の背景を知る手掛かりになります。なぜ、新型コロナ・ショックを機に、CMEのビットコイン先物の取組高が増加したのでしょうか。