“無国籍資産”が物色されていることは、世界が“誰にも依存しない投資先”を求めている証
ビットコイン価格と金価格が、比較的高い連動性を維持しながら上昇していることを考える上でキーワードとなるのが、“新型コロナ・ショック”、“似た属性を持っている”、そして“無国籍資産”です。
以下は、新型コロナウイルスが発生・拡大し、米ドルや日本円などの、国の信用の裏付けがある法定通貨ではない、いわゆる“無国籍通貨”が物色される動機が生まれ、その後、新型コロナ・ショックを機に“無国籍資産”が物色されはじめるまでのイメージ図です。
図:新型コロナウイルスが発生・拡大した後の“無国籍通貨”をめぐる環境(イメージ)
新型コロナ発生・拡大時から、“資金の逃避先”“代替通貨”“代替資産”の各面から、無国籍通貨を物色する動機が生じたとみられますが、新型コロナ・ショックを機に、さらに、誰にも、何にも依存しない投資先、つまり、より“無国籍資産”の物色が強まったと、筆者は考えています。
“無国籍通貨”は“無国籍資産”の一つです。金やビットコイン以外に、例えば、環境やエネルギー、社会、人権、衛生、医療などの、人類共通の目標を達成する動きに沿う銘柄は、無国籍色が比較的強い銘柄と言えると思います。特にコロナ・ショック後、ESG(財務状況に加えて、環境・社会問題や企業統治に対する取り組みを考慮して行われる投資)やSDGs(2015年9月の国連サミットで全会一致で採択された「持続可能な開発目標」のこと)が、これまでにも増して注目されるようになった動きと符合します。
新型コロナ・ショックがもたらした“無国籍資産”を物色する動きがきっかけとなり、金、そしてビットコイン価格が上昇したと考えられます。