目先の上値メドは2万3,806円。循環物色の継続は難しい?

 実際に、先週取引された銘柄の動きを見ると、前半は景気敏感株や決算で悪材料出尽くしと受け止められた銘柄など、「バリュー」中心の買いが目立ち、後半はIT・半導体関連株などの「グロース」にも買いが入っています。いわゆる「循環物色」と呼ばれる動きですが、こうした好循環が続けば、株式市場はさらに上昇してもおかしくはありません。

 とりあえず、目先の上値メドとしては、コロナ・ショック急落前の高値である2月20日の2万3,806円、そして次の節目とされる2万4,000円になります。

 まずは2月21日~25日に空けた「窓」埋めをしつつ、2万3,000円台前半での値固めが今週の焦点になりますが、一応、6月以降の日経平均は2万2,000~2万3,000円のレンジを抜けかけては戻されるという、「ダマシ」の連続だったことは注意しておきたいところです(下の図2)。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2020年8月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 とはいえ、リクツで考えれば、先週までの循環物色の継続は難しい状況です。

 その理由の一つが、先週で国内企業の決算シーズンが一巡し、企業業績への手掛かりが減少することです。今後は国内外の経済指標や政治動向などに関心が向かいやすくなると思われます。今週は国内では4-6月期GDP(国内総生産)(17日)、米国では米7月住宅着工件数(18日)や、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公表(19日)などが予定されています。また、米大統領選挙に向けては、民主党の党大会が行われます。

 続いて、二つ目の理由ですが、そもそもグロース株とバリュー株に対する買い意欲の背景が異なるという点です。グロース株は「稼ぐチカラ」による成長期待、バリュー株は「割安度による見直し」の視点で買われます。前回のレポートでは、日経平均のPER(株価収益率)を紹介しましたが、先週末14日(金)時点では22.08倍でした。前週末の8月7日が20.18倍、さらにその前の週の7月31日が17.90倍ですので、着実に割高となっています。コロナ禍以降の経済正常化が加速する等の動きがないと、バリュー株への物色は続きにくくなると思われます。