円安に動く可能性は?

 日本も強力に金融緩和をし、財政赤字も大きいので、円安に動くのではという声も聞こえてきます。しかし、2012年から2015年にかけて80円から120円まで円安になったのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が基本ポートフォリオにおいて17%だった外国資産を大きく引き上げていったことや、証券会社などが投資家に国際分散投資をお勧めしていた等、海外資産に資金が流れる動きがあったためと考えています。

 現在、日本銀行は金融緩和をして、その資金が海外に流れ、円安に動くことを期待していますが、実際には日銀に戻り、日銀の当座預金に積みあがっている状態になっています。GPIFもすでに海外資産をある程度構築済みで、証券会社の動きをみても、ここ数年は米国資産を推奨していたので、投資家の方々の多くはすでに米国資産を保有している状態にあると考えています。

 こういったこともあり、理論的なリターンが低くなってしまっている米国資産に、為替リスクを負ってまで、これから巨額の資金が日本から向かうことは起きにくいのではと考えています。

投資行動の参考:上がった時に現金化して、下がった時に買い直す

 では、当面、どのような投資行動をとっていけばよいのでしょうか?

 実際にドル安が進むかは、先になってみないと分かりませんが、あくまでもご参考としての私の考えとして、債券や株式といった金融資産の理論上のリターンが小さく、長期保有してもリターンが望みにくいため、「上がった時には現金化して、下がるまで待ち、下がった時には買い直す」という行動をとっていったほうがよいと考えています。

 年に1~2回、マーケットが高い局面があり、逆に1~2回、低い局面があるので、その波を捉えて考えられるのがよいと思います。

 また、すぐに来るとは思いませんが、インフレの足音が聞こえてきて、金融緩和から金融引き締めへの転換が想定されてきた時には、金融緩和で上昇してきた債券や株式といった金融資産が、これまでの逆回転の動きとなり、調整してくることが考えられます。

 このため、実物資産である金(ゴールド)を分散投資の1つに加えておくことも必要な時代になってきたと考えています。

 投資は、あくまでも自己責任で。

★今回の記事「大規模金融緩和の行く末-インフレの前にあるドル安シナリオ-」のオンライン解説を、8月22日(土)17:00~17:30に行います(参加費無料)。

お申込みはこちらから!(マネーブレインWebサイト)