インフレはいつ来るのか

 では、インフレはいつ来るのでしょうか?

 米国の物価動向を見るために、消費者物価指数とPCEコアデフレーター(※)の推移を見てみましょう。

※PCE(個人消費支出)のデフレーター(名目PCEを実質PCEで割ったもの)から、価格変動の大きい食品とエネルギーを除いたもの。

米国の消費者物価指数とPCEコアデフレーターの推移

出所:米国労働統計局(消費者物価指数)、米国経済分析局(PCEコアデフレータ)のデータを基にマネーブレインが作成

 消費者物価指数に比べて、PCEコアデフレーターのブレが小さいのは、消費者物価指数には変動の大きい食品やエネルギーが含まれているのに対し、PCEコアデフレーターは含まれていない(その分、家賃[帰属家賃含む]や、医療サービスの比率が高い)ことが主な要因です。

 特に、エネルギー価格の変動は大きく、次のWTI原油価格の推移も併せて見比べていただくと、その影響が大きく効いていることが見て取れると思います。

WTI原油価格の推移

出所:ニューヨーク・マーカンタイル取引所のデータを基にマネーブレインが作成

 米国において消費者物価指数が2%を超えたことは、2008年以降何度もありました。ただ、ここで重要なのは、FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重要視しているのは消費者物価指数ではなく、PCEコアデフレーターであることです。

 PCEコアデフレーターは、リーマンショック後において、最も高かった時でも2.0%で、足下の2020年6月は0.9%です。PCEコアデフレーターが2%を超えてきたら、金融緩和がやりにくくなりますが、継続的に2%を超えてくる状態は、なかなか来そうにないというのが現状です。