生産量の増減は、商品市場を動かす一大要因。患者数増加は供給障害に発展する懸念あり

“生産量”は、コモディティ(商品)市場を分析する上で、消費量や投機筋の動向などと同様、欠かすことができない要素です。

 株式市場側から、コモディティ市場を見る場合、どちらかと言えば、消費量に注目が集まることが多いと、感じます。原油や銅相場が、足元の景気動向を示す、バロメーターのように用いられるためですが、このような話は、話としては理解できますが、コモディティ市場を消費面でのみとらえる、やや不十分な議論であると、筆者は感じます。

 景気動向の指標として用いる(外からコモディティ市場を見る)場合であっても、投資対象として用いる(内に入ってコモディティを取引する)場合であっても、コモディティ(商品)市場に注目する際は、生産面の存在を、忘れてはなりません。

 本レポートで述べる、新型コロナの患者数の増減と、各種コモディティ銘柄の生産量の関係については、以下のように整理できると、筆者は考えています。

新型コロナ患者数の増加 → ロックダウンや自粛の実施、防疫の強化、社会の変革が加速
(直接的な生産減少要因)
・生産者や関連する業者の活動が停滞する
・防疫が強化され、食べ物の生産・加工、輸送に制限がかかる
(消費減少による生産減少要因)
・必要最小限の生活の中、嗜好品をはじめとした非必需品の消費が減少する
・新しい生活様式が広がり、従来からの社会から無駄を省く動きが、加速する

 新型コロナの患者数の増加は、上記の直接・間接、複数の経路から、各種コモディティ(商品)の生産を減少させる要因になり得ます。逆もしかりで、患者数の減少は、生産増加あるいは回復させる要因になり得ます。

 このような、患者数の変化による、各種コモディティ(商品)の生産量の変化は、すでに起きている、あるいは今後起きる可能性があります。患者数の変化が大きければ大きいほど、各種コモディティ(商品)の生産量の増減が大きくなると、考えられます。

 具体的に、どの国で患者数の増減が目立ち、それらの国でどのコモディティ(商品)の生産量が増減する可能性があるのでしょうか。