金融論の世界だとローン返済

 下記図1を見てほしい。証券アナリストのテキストに出てくる「証券市場線」だ。横軸がリスクで、縦軸が期待リターンだ。この線は市場で評価されているリスクと期待リターンとのいわば「フェアな取引条件」を表しているので、運用商品は、この線からどれだけ下方に乖離(かいり)しているかで優劣を評価することができる。

 例えば、国内株式に100%投資する投資信託で、ともにノーロード(販売手数料ゼロ)であるとして、運用管理費用が年率0.2%のAファンドと1%のBファンドでは、文句なしにAファンドの方がいい。

 さて、「住宅ローンの返済」を運用商品として評価するとどうだろうか。ローンを返済することによって、リスクゼロで確実に1%の利回りが得られるので、この運用条件は証券市場線の上方に1%の素晴らしいものであることが分かる。

 インデックスファンドへの投資は証券市場線の下方に0.2%乖離しているので、ローンの返済の方が明らかに優れており、これは「逃すともったいない好機」だと言える。元々借金が不利なのでありその不利を縮小することができるので、このような「有利」が生じる訳なのだ。

 格言で表現すると、「返済に勝る運用なし!」がいいかと思う。

(図1)