ワクチン開発で期待されるアンジェスは、赤字続き

 以下は、東証マザーズに上場している大阪大学発のベンチャー、アンジェス(4563)の株価(日足)と売買高です。新型コロナの予防用ワクチンを開発中で、実用化に向けた治験を近く開始すると発表したことから、人気沸騰しました。

 株価は、3月の安値から6月の高値まで4カ月で6倍超に急騰しています。ただし、7月に入ってから、利益確定売りが増えて、急速に値を崩しています。気になるのは、売買高が5月前半のピークと比べて、低下していることです。

 私はテクニカル分析において、売買高の変化を重視しています。売買高は、人気のバロメーターだからです。売買高が低下しているということは、株式市場での人気が低下し始めている可能性があります。

 1つの不安材料は同社の業績です。上場来、黒字になったことがありません。2010年12月期から2019年12月期まで、以下の通り、ずっと純損失を計上しています。
▲19億円→▲18億円→▲17億円→▲14億円→▲23億円→▲41億円→▲47億円→▲37億円→▲29億円→▲37億円。そして、今期(20年12月期)も、会社は▲32億円の純損失を予想しています。

 アンジェスは、コロナワクチンの開発で、欧米に大幅に劣後している日本勢の中の希望の星です。それでも、欧米勢に比べると、ワクチン供給までのスピードと供給できる規模において見劣りします。

 日本政府は、英グラクソ・スミスクラインなど、ワクチン開発で先行する欧米勢から、ワクチンを購入する検討もしています。供給できるスピードや規模で勝る欧米勢が、先にワクチンを開発して、世界市場を押さえてしまう可能性もあります。

 アンジェスが株式市場の期待に応えるだけの売上収益を獲得できないと、株価は大きく下がる可能性もあります。今、投資するのは、リスクが高いと考えています。