いまだ、収束の目途が立たない新型コロナウイルス。世界中の政府・中央銀行が積極的な財政政策、金融政策をとっていますが、いずれ訪れる「正常化」の後に、何が起きるのか。最近の政府要人の発言などを踏まえながら、少し先のことを考えてみましょう。

「コロナ税」はある?

 まずは気になる日本の財政から。第1次補正予算(25.7兆円)、第2次補正予算(31.9兆円)を合わせた2020年度の一般会計の歳出総額は160.3兆円。税収の下振れと歳出の増加から公債依存度も上昇し、リーマン・ショックを受けた2009年度を超える56.3%に及びます。

 第2次補正予算には予備費の10兆円が含まれていますし、他の予算も全て執行されるとは限りませんが、空前の財政支出であることには変わりありません。当然のことながら、「こんなに借金をして大丈夫なのか?」という疑問が湧いてきます。

 現在の日本の金融制度を前提にすると、国債を日本銀行が政府から直接購入することはできないので、まずはプライマリー・ディーラー(国債市場特別参加者)と呼ばれる市中金融機関が国債を購入してくれなければ、政府は借金もできないということになります。

 日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール:長短金利の調整)を導入していることもあって、今のところ、国債価格は安定していますが、国債市場全体が日銀が市場から国債を購入してくれることを前提とした取引になっています。

 6月29日には新発10年物国債(358回債)で業者間売買を仲介する日本相互証券で一日を通して取引が成立しませんでした。翌30日に日銀の国債買い入れオペの月間予定が公表されるため、市場参加者が様子見を決め込んだようです。

 国債の金利はほぼゼロなので、金融機関が購入する理由としては、

(1)日銀相手に売ることでわずかな鞘取りをする
(2)国債を担保として求められる取引(例えば、日銀のドル供給オペ)があるので最低限の残高を維持するために購入する
(3)投資信託の裏付け資産として購入する

 といったことが挙げられます。