なぜ?新型コロナ感染の心配は続いているのに、株価が戻った不思議

カギを握るのは「中央銀行」

シノちゃん これまで起こったいろんな経済危機で株式市場は大きく下がったけれど、このコロナ・ショックが今までと大きく違ったのは、「回復が早かった」こと。ここ数年の間に投資デビューした人の中には、まるでジェットコースターのように上がったり下がったりの株式市場の動きにヒヤヒヤしたという人、多いかも。

岡本くん そういえば、僕の先輩が株投資しているけれど、「読みが外れた!」と嘆いていた。

シノちゃん そうだよね。経済危機で株式市場が「急落からの急回復」は、たぶん誰もが経験したことのない出来事だったみたい。この背景には、なんと日本やアメリカ、ヨーロッパの中央銀行の存在があるのよ。

岡本くん 黒幕なの? 中央銀行? どこの銀行? 

シノちゃん 中央銀行っていうのは、岡本くんがお金を預けるような、街にある銀行じゃなくて、国の金融システムの中心の役割を担う重要な組織のこと。日本なら日本銀行、アメリカはFRB(米連邦準備制度理事会)、ヨーロッパはECB(欧州中央銀行)がそれぞれ中央銀行の役割を担っているの。厳密に言うと、それぞれの中央銀行の役割は違うところもあるけれど、共通しているのは、「金融市場と金融システムの安定維持」!

岡本くん 金融システムの安定維持…。中央銀行ってSE(システムエンジニア)みたい。

シノちゃん まあ、あながち悪くないたとえかも。コンピューターもウイルスに侵されるもんね。新型コロナウイルスという未知のウイルスのまん延から、経済の先行きに不安が高まってコロナ・ショックが起きたよね。それで、何があってもいいように現金を手元に置きたいと考えた世界中の企業が、世界の基軸通貨・米ドルを確保しようと一斉に動いたの。この結果、米ドルの需要が急増しちゃった。

岡本くん 需要が増えると、米ドルの価値が上がることになる? 米ドルが手に入りづらくなるんじゃない?

シノちゃん そう。そこで、世界の中央銀行は、金利を引き下げることにしたの。お金が必要な人たちにきちんと行き渡るようにするためにね。金利が低いと借りやすくなるから。岡本くん、お金を借りるときは、その分の金利、つまり利息を払うことは分かるよね。

岡本くん うん。物入りでキャッシングしたときに、利息と一緒に返したよ。

シノちゃん 世界の中央銀行は、この金利を限りなくゼロに近づけることで、「借りられない」を未然に防いで、またパニックが起きないようにしたの。

岡本くん 金利がゼロになるなら、僕も借りたい。

シノちゃん そうそう。金利が下がるとお金は借りやすくなる。だけど、預金したときの金利も下がることになるの。これは債券に投資した場合も同じで、お金は増えづらくなっちゃう。

岡本くん それはそれで困る人もいるよね。