まだ上がる?

 今後については、引き続き短期、中期、長期を分けて臨む必要があると考えています。

短期(3カ月)

 6~8月は「金融相場第1波」の後半戦として、ペースダウンして一進一退しながらも、しっかり目との想定を変えていません。6月10~15日の株価急落を目の当たりにした投資家は、いったん気勢をそがれ、相場も小動きになっています。しかしこの小動き自体が押し目買い派の強さも窺(うかが)わせます。経済指標の反発、政策効果を確認しながら、新型コロナウイルス感染が医療崩壊に至らないレベルであれば、「金融相場第1波」の後半をたどるとみています。

 相場上抜けの先導役としては、引き続きコロナテーマのグロース株を注目します。マクロ経済見通しに不透明さが残る中、バリュー感の薄れた一般株を買うことに躊躇(ちゅうちょ)が出ると、グロースのテーマ株が物色されやすいでしょう。

 リスクとして留意するのは、当然のことながら期間が長くなるほど、予想外の悪材料に直面するリスクも大きくなること、そして、相場のペースダウン(=時間当たり収益率の低下)で焦(じ)れやすくなった投機筋の売り逃げも足早になりがちなことです。

中期(半年~1年)

 9~10月からは警戒モード。コロナ前水準に届かない「レ」字回復経済の重さ、政策が行き届かない領域の時間切れ廃業・倒産・失業、米大統領選挙の不確実性、米中摩擦の先鋭化、秋冬の新型コロナ感染再燃への不安など、懸念材料として無視できないものばかりです。こうした事情から、4~5月相場より減速して、一進一退も増えると想定します。

長期(2~5年)

 さらにその先を展望すると、予想外に早い新型コロナ終息か、治療薬・ワクチンの開発・普及の目処(めど)が立つかで、短ければ1年以内、遅くとも2~3年のうちに、経済、市場の視界が一気に広がると期待しています。経済の低迷が続けば、政策サポートは拡充されるでしょう。大局観として、低金利環境の持続は株式などリスク資産にとって支援的です。前向きに地道にロング構築を進めるスタンスが妥当と判断します。

回復相場の幸運

 今回は主に短期相場に焦点を当てました。初期の想定イメージにおよそ沿った展開になっていることは幸いです。実際、ここまでの速い相場回復は幸運に助けられた部分が小さくないことを肝に銘じています。新型コロナウイルスの毒性が少し強かっただけで、相場イメージはガラリと切り替えることになったでしょう。短期的に儲(もう)けが大きいと、過信が強化され、リスク判断が甘くなりがちです。まだまだ不確実性の大きい段階ですから、慢心は禁物。慎重に臆病に、そして時機を選んで大胆に、このスタンスを常に肝に銘じています。