「損切り付の長期投資」であればOK

 筆者は頭ごなしに長期投資を否定しているわけではありません。しかし、長期投資が大失敗を生み出す大きな要因となっていることはまぎれもない事実です。したがって、大失敗をしないような長期投資を心がけるべきです。それは、「損切り付の長期投資」です。

 いくら長期的に有望な会社を見つけたからと言って、その会社の株価が右肩上がりに上昇を続けるとは限りません。隠れた悪材料が露呈して株価が大きく下がってしまう可能性も十分にありますし、高い将来性を信じていても、突然業績が急激に失速してしまうことも珍しくありません。

 そのため、将来有望な会社に長期投資すると決めても、「25日移動平均線を割り込んだら取りあえず損切りする」「買値から10%下がったら取りあえず損切りする」「直近の安値を下回ったら取りあえず損切りする」といった損切りのルールもしっかり決めておくべきです。そうすれば思惑どおり株価が右肩上がりに上昇すればそのまま持ち続ければよいですし、期待に反し株価が値下がりしても損切りの実行によって損失を最小限に抑えられます。

 そして状況が好転すればまた同じ銘柄を買えばよいのです。長期投資であっても放っておいてよい時代ではありません。選んだ銘柄と自らのルールや市場動向との関係を定期的に確認することは必要です。

 バブル崩壊後の日本株の値動きをみても分かるとおり、すでに右肩上がりの相場は終焉しています。「バイアンドホールド」で報われる時代はとっくに終わったのです。確かに右肩上がりに上昇する銘柄も数多くあるでしょう。しかし、事前にそうした銘柄を個人投資家が100%に近い確率で見つけ出すのは非常に困難と言わざるを得ません。

 そんな相場環境だからこそ投資の原点に立ち返り、「できるだけ安く買って高く売る」「株価が下降トレンドにある株は持たない、買わない」ことが重要です。

 損切りさえ確実に実行していれば大失敗は防げます。「長期投資で持ち続ければ最後には報われる」という甘い誘惑に負けず、損切りの重要性を理解し、たとえ長期投資目的で買った銘柄であったとしても確実に損切りを実行するようにしましょう。