日経平均はスピード調整の段階に入った

 先週末6月19日(金)の日経平均は2万2,478円で取引を終えました。前週末終値(2万2,305円)からは173円高、週足ベースでも反発となっています。

 前週末時点では下落基調への転換も警戒されていただけに、ひとまず相場が崩れずに済んだことでホッとした印象ですが、先週の持ち直しが今後の安心感につながるとは限りません。

 それでは早速、下の図1で足元の日経平均の状況から確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年6月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の15日(月)は大幅下落でした。前週末比で774円安となった他、2万2,000円台も下回り、2万1,500円あたりまで株価水準を切り下げていきました。

 ただし、翌16日(火)になるとガラリとムードが一変し、今年3番目の上げ幅となる1,051円高を見せて大きく切り返します。そして、その後は週末までは方向感が出ないまま、ほぼ横ばいの動きが続く展開となりました。

 週末の終値ベース比では173円高と小幅の値動きでしたが、週間の高値(2万2,624円)と安値(2万1,529円)の値幅は1,095円と比較的大きく、実際の値動きはかなり慌ただしかったと言えます。

 次は移動平均線に注目します。週初15日(月)の下落場面では25日移動平均線がサポートとして機能し、その後、200日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」も達成しています。また、75日以外の移動平均線(5日・25日・200日)の距離感が近くなっていることが分かります。

 移動平均線はそれぞれの指定期間の値動きの中心線ですので、最近まで上昇トレンドを描いてきた短期~中期の移動平均線(5日と25日)と、下落から上昇へと向きを変えようとしている長期の移動平均線(200日)の株価水準が近くなるということは、上値トライの買いと利益確定の売り、そして戻り待ち売りが交錯しやすいことを意味します。前回までのレポートでも指摘した通り、日経平均がスピード調整の段階に入っていることをあらためて確認できます。

 スピード調整には、「値幅調整」と「日柄調整」の2種類ありますが、ローソク足の並びに注目すると、15~16日の大陰線および大陽線の出現でいったん値幅調整が完了し、以降は実体が短く下ヒゲが長めの線が続いたことで、日柄調整へと進んだようにも見えます。