先週は、円安一服と政局一変で、狭い範囲のもみあいに終始

先週の予測

 北朝鮮リスクはあるが戻りを試す展開へとし、日経平均株価は堅調な動きとなることを想定しました。その背景には、前週のFOMC(米連邦公開市場委員会)での10月からのバランスシートの縮小開始決定と、年内追加利上げの示唆を受けたドル買い・円売りへの期待、さらにトランプ政権の税制改革進展への期待があります。

 また、国内では衆議院選挙を控え経済政策期待が相場をサポートするとしました。ただし、先週まで急騰してきただけに、2万500円水準が心理的な節目とお話しました。

結果

 週始めの25日(月)に2万454円の年初来高値更新となるものの、為替が1ドル=112円台でのもみあいとなり、また国内の政局が一変したことで2万200~2万400円の狭い範囲のもみあいに終始することとなりました。これにより、米国株式が最高値更新したにもかかわらず、日経平均は上値を追う展開とはなりませんでした。

 25日(月)は、安倍首相が2兆円規模の新たな経済政策を年内に策定する方針を示したことや円安期待から+142円の2万439円で寄り付き、一時2万454円まで上昇。買い一巡後は利益確定売りで+101円の2万397円でした。これまでの急ピッチな戻りでテクニカル指標には過熱感があり、熱をさます必要があるとの見方が出たタイミングです。

 この日の米国市場は、北朝鮮の外相が「トランプ大統領の発言は宣戦布告」との声明を出したことで、一時的にリスク回避の流れとなり、ドルは111円台まで売られ、NYダウは一時▲130ドル下げて終値は▲53ドルの2万2,296ドルとなりました。

 26日(火)の日本市場は、北朝鮮リスクへの警戒感から一時▲89円の2万303円まで下げるものの下値は限定的で、▲67円の2万330円と反落。

 27日(水)は、9月末配当の権利落ち(約▲130円)の影響から下落して始まり、一時▲116円の2万213円まで下げました。ここからは下げ渋り、戻りの動きをみせましたが、▲63円の2万267円となり、配当落ち分は埋めることはできませんでした (配当落ちを考慮すれば実質はプラス)。

 28日(木)は、前日の米国で発表された税制改革案がほぼ期待通りだったことや、前日のイエレン議長の講演で12月利上げが確実視されたことで、ドルが1ドル=113.27円まで買われ、米国株式が上昇。日経平均は3日ぶりに反発し+76円の2万363円となり、トピックスは年初来高値を更新しました。

 29日(金)は、前場は円安一服で売り先行で▲58円の2万305円で引けたものの、後場になると日銀のETF(上場投資信託)買い観測が支えとなってプラスに転じる場面ありました。しかし、週末のポジション調整や日経平均の銘柄入替に伴う売りなどがあり、▲6円の2万356円と小幅反落となりました。

 週末の米国市場は、トランプ政権の税制改革による景気回復期待を背景にナスダック、S&P、NYダウの3指標そろって上昇して終了しました。シカゴの日経先物は+10円の2万350円でした。

 10/2は、先週末の米国株高と円の弱含みを受けて+44円の2万400円で始まり、一時+55円の2万411円まで上昇。買い一巡後はテクニカルな過熱感もあって上値は重く、かといって下値も2万363円までで底堅く、大引けにかけて小高い水準でもみあい、+44円の2万400円と寄り付き値と同じ価格で引けました。

終値ベースで9月25日の年初来高値2万397円を更新し、2015年8月18日の2万554円以来、約2年カ月ぶりの高値水準となりました。前場、後場を通じてあまり動きがなく、短期的過熱感から調整気味の動きとなっています。


北朝鮮リスクを念頭に、22日の総選挙に向けて調整気味の相場展開も

今週の予測

 基本的には先週と同じように、米国株式の堅調な動きとドル・円がドル買いサポート要因(年内追加利上げ観測、トランプ政権の税制改革の実現期待など)からの、外国人の買い越し基調を受けて底値は堅いと考えます。

 しかし、衆議院総選挙への思惑や、北朝鮮の地政学的リスクから、上値は限定的で2万~2万500円の中でのもみあいが想定されます。特に衆議院選挙は要注意。当初は自民党・公明党の勝ちは間違いないという見方からアベノミクス加速ということで、相場の堅調さが期待されていましたが、小池新党「希望の党」が台風の目になってきました。外国人投資家は日本の政治に敏感ですので、様子見となる可能性があります。

 また、北朝鮮リスクも10日に朝鮮労働党の創立記念日を控えてミサイル発射の懸念もあり、地政学的リスクが高まる可能性もあります。

 テクニカル的には過熱感があり、上述した要因によって日柄調整で済むのか、それとも2週間ほどの調整が必要になるのか、といった点がポイントになります。


日経平均

先週の予測

 前週のFOMCでバランスシートの縮小が10月から決定され、年内の追加利上げも示唆されたことで、ドル買い・円売りの基調が続くため、日本株にとってはサポート要因になるとしました。北朝鮮情勢が落ち着いていれば2万500円水準を試す動きも想定されました。

結果

 北朝鮮情勢は落ち着き、米国株式は堅調でしたが、円安も112円台で止まっていることや、政局が一変したことで様子見ムードもあり、日経平均は週始めに年初来高値を更新したあとは2万200~2万400円の狭いもみあいとなり、週末の9月29日(金)は2万356円で引けました。

今週の予測

 先週と同じように底堅いものの上値は限定的という相場展開が基本となります。ただし、下値は10日に北朝鮮が朝鮮労働党の創立記念日を控えてミサイル発射の懸念もあり、地政学的リスクが高まる場面があるかもしれません。これらを勘案すると、2万円台値固めの動きとなる可能性もあります。

 一方、総選挙に向けて小池氏の出馬となれば、アベノミクス加速を期待した外国人の買いが一服しそうです。22日投開票までは報道を見ながら様子見ムードが続くかもしれません。2万~2万500円のレンジの動きを想定。

 


NYダウ

先週の予測

 トランプ政権の政策の柱である税制改革の枠組みが発表予定であり、進展すれば相場のサポートになるとしました。

結果

 北朝鮮が「トランプ大統領の発言は宣戦布告」との声明を出したことで、一時的にリスク回避の動きとなったものの、それほど地政学的リスクは高まりませんでした。

 この状況の中、イエレン議長から追加利上げに前向きな発言が出たり、発表された税制改革がほぼ期待通りだったことで、株式市場は堅調な動きとなり、ナスダックやS&Pは最高値更新し、NYダウもほぼ最高値に接近して終わりました。

今週の予測

 株式市場はトランプ政権が発表した減税策に対する期待からの株価の上昇要因と、朝鮮労働党の創立記念日を10日に控えたミサイル発射懸念との綱引き相場となりそうです。また、週末の6日(金)の雇用統計にも注目です。予想を上回れば追加利上げ観測がさらに高まり、ドルが買われて株価がサポートされることになります。最高値圏でのもみあいが基本となります。
 

 

ドル/円

先週の予測

 米国の追加利上げやトランプ政権の税制改革案への期待が高まれば、株高・ドル高が強まることになるとしました。ただし、北朝鮮情勢次第では、地政学的リスクが高まり、ドル売りが広がることになるとし110.5~113.5円のレンジを想定しました。

結果

 週始めは北朝鮮外相が「トランプ大統領の発言は宣戦布告」との声明を発表したことで、一時的にリスク回避の流れとなり、1ドル=111.48円まで円高が進みました。その後、イエレン議長が講演で年内利上げに前向きな発言をし、さらに発表された税制改革案が期待通りだったことで113.27円までドルが買われました。週後半は経済指標がマチマチだったことでもみあいとなり、週末の9月29日(金)は112.51円で引けました。

今週の予測

 ドル/円相場に強弱感はあるものの、底堅い動きが想定されます。ドル買い要因は、先週に引き続きトランプ政権の税制改革案の実現性への期待とFRBの金利正常化方針の堅持で、日米金利差拡大が継続となります。一方で北朝鮮がらみの地政学的リスクは、円高要因として残っています。6日の雇用統計発表が予想を上回れば、12月の追加利上げ観測がさらに確実性が高まりやすく、ドル買いが強まります。111~114円のレンジを想定。