「ファイナンシャル・ディスタンシング」の徹底

 感染防止の対策として、人と人との間で、例えば2メートル以上といった物理的な距離を取る「ソーシャル・ディスタンシング」の必要性が強調されることがある。

 筆者は、これにちなんで「ファイナンシャル・ディスタンシング」を提唱したい。

 これは、「他人と接触した状態で、お金に関する意思決定をしないこと」だ。お金の問題には、株価・為替レート・金利・不動産などの「市場のリスク」と共に、他人に影響を受けて意思決定を間違える「人間のリスク」があると、常々思うところだが、この「人間のリスク」を低減するルールが、ファイナンシャル・ディスタンシングだ。

 お金の意思決定は、他人の影響を受けない場所と時間に、自分で考え、自分で納得して行うべきだ。人に相談して決めるのが安心だと思うのは間違いだし、まして決定に際して誰かに「背中を押して欲しい」と思うようであってはいけない。

 生命保険でも、投資信託でも、不動産でも、お金の意思決定に関わる話を他人から聞いたら、「2週間」とまでは言わないが、せめて「2日間」くらいは自分を「自主隔離」して、頭を冷やすべきだ。

 特に金融マンと話した場合は、感染症の保菌者に対するのと同じくらいの気持ちで距離を取りたい(彼らを「菌有マン」だと思うことにしよう)。

 繰り返すが、守るべき原則は、「他人と接触した状況で、お金に関する意思決定をしてはいけない」ということだ。