ETFではリスクを好む?

 これまでは個人の株式保有を見てきましたが、個別銘柄よりもETF(上場投資信託)の取引が多いという方もいらっしゃると思います。個人が保有するETFにどのような傾向があるのか、株式と同様、ETFも日本取引所グループの資料で確認できます。

▼個人が保有するETF等の連動対象別保有比率(純資産総額ベース、単位:%)

出所:日本取引所グループ「ETF受益者情報調査」をもとに筆者作成

 日本取引所グループ「ETF受益者情報調査」は7月末のデータで、12月上旬ごろ公表されます。最新のデータは2019年7月31日時点のものです。2012年から始まった調査で、その後の公表項目の変更で長い時系列データがなかったりという使いにくさはありますが、ETFの保有状況を調べる上では重要な資料です。

 個人が保有するETF等の保有比率をみると、全体に占める比率は2.6%と低いですが、連動対象別のバラつきが大きいことが分かります。不人気な連動対象は日本株指数。金融庁のつみたてNISA対象商品をみると、TOPIX、日経平均、JPX日経インデックス400が挙げられているのに、そちらにはあまり関心がないようです。

 むしろ、レバレッジ型・インバース型が人気です。こちらは楽天証券サイトにある売買代金上位ランキングで日経平均レバレッジや日経ダブルインバースが常連であることと整合的です。個人の日々の取引額が大きく、ストックでも個人保有が多いことになります。

 また、外国株指数、コモディティ指数に連動するETFも人気です。外国株指数に連動するETFについてはリスクやコストを勘案したうえで、つみたてNISAの対象商品に挙げられているETFもあります。

 一方、コモディティ指数に連動するETFはリスク要因が複雑な商品で、一般的には難易度が高い商品という位置づけでしょう。

 楽天証券のサイトで確認すると、信用取引でもコモディティ指数に連動するETFは人気です。最近では、とくに原油価格(WTI)に連動するETFやETNの信用買いが膨らんでいることが分かります(ETFやETNの解説はこちらの楽天証券のサイトをご覧ください)。