急落後の大きな反発時は上場株式を贈与する絶好のタイミング

 3月にはコロナ・ショックの株価急落が起きたことは記憶に新しいでしょう。

 3月に株価が大きく売られたものの、その後4月以降は株価が順調に上昇した…という銘柄はかなり多いです。こうした銘柄を5月中に贈与した場合は、5月の高い株価ではなく、3月の低い株価で贈与することになります。

 これにより、贈与税を計算する上では、現時点では価値(=価格)が高まっている上場株式を、価値が低かった3月の値段で評価することができるのです。

 本コラムの掲載は5月末ですから、これから5月中に贈与することは難しいと思いますが、6月中の贈与であっても、かなり有利に贈与することができる可能性があります。

 典型例が、3月決算の企業で、5月に発表された決算や、来期の見通しが好調のため、株価が決算発表後大きく上昇した、というケースです。

 こうした銘柄は、例えば6月の株価が2,000円まで上昇しているにもかかわらず、4月平均1,000円、5月平均1,500円、というように、特にまだ底打ち後間もなかった4月平均の株価が現時点よりかなり低いという状況になっているものも少なくありません。

 つまり、上の例でいえば2,000円の株を実質的に1,000円で贈与することができるのです。もし3,000株保有していたとしたら、600万円の価値のある株にもかかわらず、300万円の評価額で贈与税を計算してくれるのです。

 親子間の贈与で600万円の贈与税額は68万円ですが、300万円なら19万円で済みます。この差は49万円にもなります。

 今回に限らず、今後も「◯◯ショック」が起きた後のように、株価が大きく下落したものの、底打ち後は大きく反発した、という状況であれば、同様に有利な贈与を実行することができます。