今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「インド」「中国」「ブラジル」「ロシア」を選択したお客様の割合に注目します。

 当該質問は複数回答可で、選択肢は、日本、米国、ユーロ圏、オセアニア、中国、ブラジル、ロシア、インド、東南アジア、中南米(ブラジル除く)、東欧、アフリカ、特になし、の13個です。

図:質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「インド」「中国」「ブラジル」「ロシア」を選択した人の割合 (2017年1月~2020年4月)

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 前回のこの欄で「インド」のみを取り上げ、いくつもの困難が重なっているため、個人投資家の皆様が「インド」を選択する人の割合が低下していると述べました。

 前回(3月)、インドを選択した人の割合は17.61%でした。そして今回(4月)は、16.44%でした。つまり、「インド」を、投資をしてみたいと考える個人投資家の皆様の割合は、前月よりも低下したのです。

 特に、今年1月の調査以降、新興国を選択する個人投資家の皆様の割合は、明暗を分けています。グラフのとおり、インド、ブラジル、ロシアは低下、そして逆に、中国は上昇しています。

 この明暗は、新型コロナウイルスの感染状況と無関係ではないと、筆者は考えています。3月、4月と、感染拡大が鈍化して“基本的に抑え込んだ”旨の宣言がでた中国は、今後投資してみたい国に選ばれやすくなり、逆に、感染が拡大傾向にあるインド、ブラジル、ロシアは、今後投資をしてみたい国に選ばれにくくなっていると考えられます。

 また、“経済再開”も深く関わっているとみられます。感染拡大が鈍化した上で、経済再開を進める中国と、感染拡大と同時に経済再開を進めるインド、ブラジル、ロシアとでは、同じ経済再開でも、行為の意味やそれらの行為から受ける印象が大きく異なります。

 基本的に、経済再開は、感染拡大と相反関係にあると言えます。経済再開ができるのは感染拡大が鈍化してから、という考え方です。第2波、第3波を防ぐ必要があるためです。インド、ブラジル、ロシアは、第2波・第3波が発生するリスクがあるわけです。

 このようなリスクが嫌気され、中国以外の3つの新興国を「今後投資をしたい国・地域」として選択した個人投資家の皆様の割合が、低下しているのだと思います。

 感染状況と経済再開の具合によっては、次回以降の調査で、インドと中国の割合が逆転する可能性が出てきたと、筆者は考えています。

 次回以降も、「インド」「中国」「ブラジル」「ロシア」を選択した個人投資家の皆様の割合に、注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2020年4月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2020年4月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成