本日の注目通貨

ドル/円: 

 4月のNFP(非農業部門雇用者数)は第2次世界大戦後最大となる2,050万人も減少しました。減少幅の大きさはもちろんですが、そのスピード驚きます。米国の失業率などは、ほんの数カ月前までは半世紀ぶりの低失業率を謳歌していたのです。それがあっという間に14.7%まで悪化。米国人の5人に1人が職を失ったのです。しかしマーケットの反応は落ち着いたものです。雇用統計がこれほど悪かったのに、ドル高になる理由はなぜか?

 第一の理由は、雇用統計が悪いことは、市場参加者はすでに知っていたから(まさか失業率が4%台と予想していた人はいないでしょう)。

 第二の理由として、マーケットの興味は、雇用統計がどれだけ「悪い」かよりも、どれだけ「早く」回復するかということへ移っていることです。4月の非農業部門雇用者数は2,050万人、失業率は14.7%という結果は、事前予想(2,100万人、16.0%)よりは「良かった」。先週1週間の失業保険の申請件数は316万件で、その前の週385万より減りました。実際のところ、新規の失業保険申請件数は4週連続で減少して、雇用市場はすでに底を打ったという希望の兆しも見えています。これがドル買いにつながったといえます。

 指標発表後のドル/円は、106.25円まで売られる場面もありましたが、すぐにリバウンドしてNY市場の引けにかけては106.75円まで上昇して、この日の高値をつけました。

 とはいえ、上値が重い状況は継続。高値は5月4日(月曜)以来107円には届いていません。米労働市場から2,050万人の仕事がなくなった。失業率が14.7%に上昇した。予想より良かったからと言っても、これらの数字自体の深刻さが減るわけではありません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成