株式市場が注目する強弱材料

世界の株式市場が注視している強弱材料は、以下と考えています。

【強材料】
中国・米国・欧州経済再開への期待、日本は6月以降に期待
治療薬・ワクチンの開発が、世界中で予想以上の速さで進み始める
世界各国が、巨額の財政金融政策を発動

【弱材料】
リーマン・ショックを超えるスピードで世界経済が急激に悪化
米中対立再燃の兆し
経済再開後の感染二次拡大リスク(→株式市場はこの問題は今のところ無視?)

 治療薬・ワクチンおよび、簡単な検査キットの開発が、世界中で予想以上の速さで進んできたことから、人類は1年後には、新型コロナウイルスを克服する術を得ていると考えられるようになってきました。

 ただし、ワクチンが利用可能になるのは、まだ半年~1年先です。その前に、経済を再開して、感染が二次爆発したらどうなるでしょう?そこが投資家にとって最大の不安となっています。

 経済再開後、感染の二次拡大がまったく無いと考えている投資家は、いないと考えられます。問題は、どの程度深刻な二次拡大となるか、再び経済を止める必要があるか、の2点に絞られます。

楽観シナリオと悲観シナリオ

 このまま世界の株式市場は、コロナ・ショック後を見込んで、上昇が続くのでしょうか? あるいは、「不況下の株高」が行き過ぎて、再び、二番底を試しに行くことになるのでしょうか?
 今、考えられる、楽観シナリオと悲観シナリオは以下の通りです。大きな分かれ道が、両シナリオの(4)以降にあります。

<楽観シナリオ>
【1】中国・米国・欧州・日本で新型コロナの感染拡大が鈍化
【2】各国とも、巨額の金融・財政政策で、連鎖破綻、信用危機を回避
【3】中国・米国・欧州・日本で経済活動を徐々に再開
【4】各国で、感染の二次拡大が見られるが、経済を再び止めることは無い
【5】ワクチン開発成功。ワクチン利用で二次感染拡大を抑える。集団免疫を徐々に実現

<悲観シナリオ>
【1】中国・米国・欧州・日本で新型コロナの感染拡大が鈍化
【2】各国とも、巨額の金融・財政政策で、連鎖破綻、信用危機を回避
【3】中国・米国・欧州・日本で経済活動を徐々に再開
【4】各国で、感染の二次爆発起こり、再び、経済を止める
【5】治療薬・ワクチンの開発に手間取り、なかなか成果が出ない
【6】財政政策で支えきれず、企業の連鎖破綻が起こり、信用不安に発展する

 経済再開後、感染の二次拡大はある程度は起こると誰もが考えています。経済再開に積極姿勢のトランプ大統領も、再開すれば、感染の再拡大・死亡者の増加はあり得ると認めています。それでも、「再開しないコスト(さらなる景気悪化)は、経済を再開するコスト(感染の二次拡大)より大きい」と判断しています。
 感染の二次拡大があった時に、経済を止めないで済むためには、以下2つの条件が必要と考えています。

【1】感染の二次爆発と言われるほど深刻な事態とはならない
【2】「経済を止めるコストは、感染再拡大のコストより大きい」という社会的コンセンサスが形成される

 欧米では、まだ社会的コンセンサスとまではなっていませんが、「経済を止めるコストが感染の二次拡大コストより大きい」と考える人が増えつつあると考えられます。