2:チャートの節(前回の高値)を抜けていないのは、どちら?

 H社には、何らかの材料か思惑があるようです。1カ月ごとに株価が急騰するのですが、1,000円を抜くことができずに急落しています。現在、3回目の上昇で940円まで上昇していますが、まだ、前回の高値を抜いていません。したがって、ここで買うのは得策ではありません。その理由は以下の2点です。

1.過去2回の急騰時に1,000円で買った人たちは、その後の急落で「しまった!」と後悔しています。チャートの節(1,000円)に近づくと「やれやれ助かった」と売ってくる可能性大です。

2.売買高が過去2回の上昇時よりも少ないことが気がかりです。これでは、1,000円での戻り売りをこなして上昇できるか確信できません。

3:3度目の正直

 I社も、同じように3回目の上値トライで、1,000円まで株価が上昇しています。I社は、既にチャートの節(前回の高値)を抜けています。出来高が高水準で、戻り売りをこなして上値トライしています。ここは買ってみておもしろいところです。その理由は以下の2点です。

1.過去2回の急騰時の高値で買った人たちは、「しまった!」と後悔しています。ところが、その後3カ月が経過しているので、その間に売却した人も多いと思われます。

2.売買高が過去2回の上昇時よりも大きく、新たな好材料が出ているようです。1,000円台で、さらに上昇できそうです。

 暴落した株が再度上値をトライするには、ある程度の日柄整理(時間の経過)が必要です。時間がたつうちに高値で買い付けた人の損切りが進み、また、新たな好材料があらわれることもあります。本問のH社は日柄整理が不十分、I社は日柄整理が十分と言えます。

「クイズで学ぶテクニカル指標(1)~(5) 」をお読みいただき、ありがとうございました。私がファンドマネージャーをしていた25年間に、実際に活用していたテクニックの一部を解説しました。

 明日より、「3分でわかる!今日の投資戦略」は、毎日の投資判断をお伝えするレポートに戻ります。引き続き、本欄をよろしくお願いいたします。