情報が持つサプライズ感が低下した3つの理由

図:情報が持つサプライズ感の変化(イメージ)

出所:筆者作成

 38年の間に生じた、情報が持つサプライズ感の低下について、3つのポイントが挙げられます。

(1)情報量が増えた

 人々はいかなる場面でも情報を欲します。特に、「多くの人が知らない情報」には価値があり、その情報を利用すれば、有利に立つことができると考えている人は少なくありません。希少性がある情報は金銭的な価値を生むこともあります。

「情報量=力」という風潮があり、人々は情報を求め、その要求に応じ通信社は多くの情報を配信します。そして世界は情報であふれかえり、私たちは毎日、(フェイクニュースも含め)情報の雨に打たれています。

(2)情報処理能力が向上した

 私たちの身のまわりだけでなく世界中で、情報が増加し続ける環境になり、それらの情報を処理する術として、コンピューターが進歩しました。ビッグデータと呼ばれる膨大な量の情報を短時間で処理するコンピューターが登場、さらにはコンピューターに物事を判断させるAI(人工知能)が本格的に稼働し始めました。

(3)情報網の敷設が進んだ

 情報を世界中に行き渡らせる情報網の敷設が進んでいます。ケーブル、電波の発信・中継基地などのインフラ施設が世界中いたるところに敷設されました。このようなインフラ設備にも高度なITが用いられています。

 また、地球上で未開拓の地が見当たらなくなるほど開発が進んでいることに加え、交通技術、金融工学が発達してヒト・モノ・カネが縦横無尽に行き来できる環境になりました。情報もそれらと同じように世界を行き来できるようになりました。

 これらの3点は“情報格差の縮小”“情報の真偽の不明瞭さが目立ち始める”ことの原因となり、そしてこれらの2点は“情報の持つサプライズ感を低下させる”大きな原因となったと考えられます。

 マーケットは大衆の心の動きを反映すると言われますが、大衆の心を動かすのは“情報が持つサプライズ感”だと筆者は思います。情報が持つサプライズ感の大きさは、情報格差が大きければ大きいほど、そして情報への信頼度が高ければ高いほど、大きくなると言えます。先述のとおり、この数十年間で、情報格差が縮小し、情報の真偽の不明瞭さが目立ち始めたと考えられることから、情報が持つサプライズ感は低下したと言えると思います。