株式相場は、3月の暴落ショックを経て、4月には部分的に失地回復を見せています。

 新型コロナウイルス禍の情勢は日々変わり、経済の落ち込みがいよいよデータで明らかになる中、先行きの不確実性は大きいままです。それでも、市場はその不確実性の中身を読み解き、コロナと共に過ごさざるを得ない「withコロナ期」から、コロナ禍終息後の「postコロナ期」の相場の模索に余念がありません。この間に世界は大きく変わり、投資のアプローチ法もチューニングが必要でしょう。少し長めの視座で、前後編に分けて、このテーマを考察します。

 今回は前編として2020年内の「withコロナ期」の展望をアップデートします。

コロナ禍相場の今

 日米欧の株式相場は、3分の1戻し、半値戻しを志向した後、一進一退です(図表1)。

 新型コロナウイルスのホットスポット(一大感染地)となったイタリア・スペイン・ニューヨークなど米国北東部でピークアウト感が出たこと、経済指標の劇的悪化への心構えができたこと、空前の金融・財政対策が打ち出されていることが、相場の支えになっています。

図1:米欧日の主要株式指数

出所:Bloomberg Finance L.P.

 米株式市場の相場下落への恐怖を表すVIX(恐怖)指数(予想ボラティリティ)は30%台と、落ち着きを取り戻すボーダー水準へと低下しました(図表2)。さらに、深刻な企業信用不安に陥るかのシグナルである低格付け社債利回りスプレッド(国債利回りとの格差)も、政府とFRB(米連邦準備制度理事会)の信用支援策を受けて、じわり低下しています(図表3)。

図2:米株式相場のVIX(恐怖)指数

出所:Bloomberg Finance L.P.

図3:企業信用不安のシグナル

出所:Bloomberg Finance L.P.

 一方、失地回復した相場が完全回復に進めないことにも、理由があります。

 第1に、経済の劇的悪化、特に企業の大量倒産・廃業のリスクを眼前にして、政策のサポートが実際にどれだけ行き届くかについては、不確実性があります。

 第2に、新型コロナウイルス感染のピークアウトを見て経済活動を再開した場合の感染再燃リスクです。人々の外出制限、経済活動停止が長引き、政策コストが積み上がることへの懸念もくすぶっています。しかし市場の目線は、その先で別の活路も見始めていると感じます。