「withコロナ」の選択

 先行きの不確実性を嫌う相場が、上がりあぐねる一方、下がりもしない背景には、新型コロナウイルスと共に生きる世界へのイメージを抱き始めているからでしょう。

 コロナ感染抑制と経済活動はトレードオフ、すなわち、一方を選べば一方がダメになる関係が指摘されます。感染抑制のための外出制限、経済停止は景気を劇的に悪化させます。

 ほとんどの国は、ここ数カ月感染抑制を優先し、経済の落ち込みを支えるべく対策を打っています。政策コストは膨大であり、まずは3カ月程度の短期総力戦の構えです。

 実はこの間、スウェーデンは別の路線を選んでいます。新型コロナウイルスは潜伏期間が長く、無症状の感染者が多く、医療崩壊しなければ死亡率は高くない(かもしれない)との性質を踏まえて、集団免疫を獲得する(多くの人が感染して集団として免疫を持つことで新型コロナウイルスを克服する)道を選んでいます。

 欧州の他の国の一部政府首脳が集団免疫を口にして、大批判に晒(さら)され、発言を取り消しました。スウェーデン内でも集団免疫路線に対する強い批判があります。ほとんどの国で政治家が集団免疫の選択を率先して公言することははばかられるでしょう。

 新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発に早くて1年、十分な量を製造して普及するのに2~3年かかるとの専門家の指摘があります。そうであれば、「withコロナ期」の経済・社会運営を具体的に考えるべきステージがもうそこに来ていると言わざるを得ません。

 主要国では、新型コロナウイルスの抗体検査が進められています。感染しても症状がはっきり出ないまま体内に抗体を有するようになった人が、公表される感染者数より桁違いに多いことが指摘されます(検査結果の正確性など問題も指摘されていますが)。

 新型コロナウイルス感染が自然と鎮静化するなら幸いです。しかしコロナと共に過ごす期間を覚悟したら、感染爆発を抑制しながら、医療崩壊させない体制、特に高齢者など重篤化リスクの高い人のケア体制の整備が進む程度に応じて、経済活動の再開を模索する流れが強まるでしょう。その中で、投資家として踏まえておくべき重要ポイントを考えます。