足元のトピック「半減期」とは?価格はどうなる?
5月中旬と言われている、ビットコインの“半減期”について述べます。さまざまな報道で、過去、起きた2度の半減期では、一定の価格上昇要因になったのではないか? と言われています。
図:ビットコイン(ドル建て)の値動き 単位:ドル/ビットコイン
図:半減期1回目前後のビットコイン価格 単位:ドル/ビットコイン
図:半減期2回目前後のビットコイン価格 単位:ドル/ビットコイン
図:半減期3回目前後のビットコイン価格 単位:ドル/ビットコイン
また、以下は、マイナー(ビットコイン取引を台帳に追記作業を行う人)が、マイニング(台帳にビットコイン取引の追記作業を成功させること。膨大な計算が必要)によって得られる報酬の額をシミュレーションしたものです。
“半減期”とは、マイナーがマイニングをすることで得られる報酬が半減するタイミングのことで、過去2度、2012年11月、2016年7月におとずれました。
ビットコインが生まれたとされる2008年10月を起点に、およそ4年(回を重ねるごとに短くなっている傾向あり)ごとに、高価で高スペックなパソコンをはじめとしたインフラを擁する、大規模で、電力を多用するマイナー達の報酬は半分になってきています。
図:ビットコインマイナーのマイニングによる報酬 単位:ビットコイン
報酬の低下は、高コスト体質のマイナーを排除するきっかけになります。半減期がおとずれればおとずれるほど、マイナーの数は減り、競争力があって体力があるマイナーが残るわけです。半減期をきっかけに参入するマイナーもいるとの報道もありますが、退場を余儀なくされるマイナーに取って代わり、シェアを確保する意図があると考えられます。
半減期とビットコイン価格の関係については、報じられているような短期的な急騰を期待させる面もあると思いますが、この件に関し、筆者は長期的な視点で見て、ビットコイン価格を安定化させる作用があると考えています。
半減期を境に、高コストマイナーが退出し、少数の体力のあるマイナーが残留することで、ビットコインのマイニング社会で寡占化(ガリバー化)が進むと考えられます。多くの業界でその傾向があるとおり、寡占化は、価格やルールにガリバー企業が強く関わることを意味しますので、これらの企業の思惑で、これらの企業にとって不利なことが起きにくくなると思います。
残ったマイナーにとって不利なこととは、彼らの資産の額に直接的に関わるビットコイン価格の急落です。寡占化がすすめば、彼らが不利益を被るビットコイン価格の急落や低迷が、起きにくくなると思います。
むしろ、“半減期”でマイニングによる報酬が半分になるため、彼らの“ビットコイン価格の維持・上昇”への思惑が強まると考えられます。
その意味では、半減期のおとずれは、長期的な視点で、ビットコイン価格を底堅くするきっかけになると筆者は考えています。
寡占化と言うと、否定的な響きがありますが、現段階で、ビットコインがさらに一般化するために必要なプロセスだと思います。高コストで利益獲得を重んじるマイナーが退出し、体力がある(社会的地位がある)マイナー達がマイニングを行う環境になっていけば、ビットコインそのものの、社会的地位が上がるとみられます。
半減期を繰り返すことで、ビットコインはどんどんと一般化していくのだと思います。まずは、5月の半減期を、ビットコイン市場がどのように受け止めるのか(価格がどのように動くのか)に注目したいと思います。