相関関係:この1週間、比較的ドル/円に近い値動きだった

 この1週間(4月14日から21日)、ビットコインは、比較的ドル/円に近い値動きでした。ビットコインとドル/円間の、関係性の緊密さの目安となる相関係数(※)は、+0.63と、他の主要銘柄に比べて高い値でした。

※相関係数は、対象物との関係性を数値化したもので、相関係数は+1と-1の間で決まります。+1に近ければ、対象物との関係は正(2つの銘柄の価格推移であれば、連動するように動いていること。相関)、-1に近ければ、対象物との価格の関係は負(2つの価格の関係であれば、正反対に動いていること。逆相関)、0に近ければ対象物と関りがないこと(無相関)を示します。

 具体的には、次の通りです。

0~0.3(-0.3):ほぼ無関係、
0.3~0.5(-0.3~-0.5):非常に弱い相関(非常に弱い逆相関)、
0.5~0.7(-0.5~-0.7):相関あり(逆相関あり)、
0.7~0.9(-0.7~-0.9):強い相関(強い逆相関)、
0.9以上(-0.9以下):非常に強い相関(非常に強い逆相関)   

図:ビットコインと各種銘柄の相関係数(4月14日から21日)

出所:マーケットスピードⅡおよび同CX、楽天ウォレットのデータをもとに筆者作成

 以下の図のとおり、4月上旬ごろから、ビットコインは堅調さを維持しながら、ドル/円に近い値動きとなっています。直近1週間もこの傾向が続いたため、相関係数が比較的高い値となりました。

 2月下旬から3月中旬にかけて発生した“コロナ・ショック”の影響で、通貨、株式、コモディティ(商品)、暗号資産、ジャンルを問わず下落しましたが、このような総悲観が一巡したことで、ドルやビットコインを含んだ“広い意味のお金”の値動きも、安定したと考えられます。

図:ビットコインとドル/円の値動き

出所:マーケットスピードⅡおよび同CX、楽天ウォレットのデータをもとに筆者作成

投機筋の物色動向:米国のビットコイン先物の市場、投機筋はやや売り優勢

 投機筋の動向は、株価指数、通貨、コモディティ(商品)など、各種市場の将来の価格動向の先行きを考える上で重要視されています。ここでは、米国の先物市場における投機筋の動向に注目します。ビットコイン(ドル建て)も米国の先物市場で取引されています。

 原油や金に比べれば、ビットコイン先物の売買はまだ多いとは言えません。しかし、米国の先物市場で取引されているさまざまな銘柄の市場分析においては、投機筋の動向のデータは日常的に使われているため、ビットコイン先物の投機筋の動向についても、将来の売買増加を見据えて、毎週その動向を追い、傾向を知っておくことは、有用だと筆者は考えています。

 米国の先物市場における、投機筋のデータは、毎週金曜日(日本時間土曜日未明)に公表されます。このデータは当該週の火曜日時点のデータであるため、直近の営業日のデータではない点に留意が必要です。

図:米国先物市場の投機筋の買い越し残高(4月14日時点) 単位:枚

出所:マーケットスピードCXおよびCFTC(米商品先物取引委員会)のデータより筆者作成

 4月14日(火)時点で、米国のビットコイン先物市場における、投機筋の買い越し枚数は-1,506枚です(同枚数の売り越し)。また、買い枚数と売り枚数の比率を示す買売倍率(買い枚数÷売り枚数。1以上で買い枚数が売り枚数よりも多いことを示す)は、0.69で買い枚数が売り枚数のおよそ3分の2であることがわかります。

 また、米国のビットコイン先物の買売比率は、前回比、マイナス幅を拡大させていることから、この期間は、どちらかと言えば、投機側からの売り圧力が続いたと言えます。