マイナス価格が起きた背景には、米国国内で原油在庫を保有することが困難になっていた点があげられる

 原油相場がマイナス圏に至ったことについて、まずは前提条件として、米国国内の原油に関わる事情をおさえる必要があります。以下のおおむね3つの要因によって、米国内で原油を在庫として保管することが難しく、もともと、原油在庫をかかえることを避ける動きが目立ちつつあった、ということです。

【1】米国内での貯蔵コストが上昇しているとみられる。
(期先限月のみが大幅上昇中)
【2】米国内の原油在庫が高水準になりつつある。
(*WTIの集積地 オクラホマ州の在庫が高水準)
【3】米国内の石油の消費量が減少している。 
(原油の精製施設への投入量が急減中)

*WTI=West Texas Intermediate。米国南部で産出される軽質で低硫黄な原油の総称

マイナス価格の直接的な原因は、NY原油先物20年5月限が取引最終日を迎えたこと

 昨晩4月20日は、NY原油先物の20年5月限が取引最終日を迎える前日でした。このまま買い建玉を持ち続けると、5月に原油の現物を受取り、保管しなくてはならなくなるため、買い建玉を持っていた業者が反対売買で決済する、売り注文を出しました。

 もともと最終取引日直前ということで、この限月については取引枚数が比較的少なくなっていたこともあり、この売り注文によって価格が急落し、原油の売り手が、お金を払って、買い手に原油の現物を引き取ってもらう事態になったと考えられます。