どうしても苦しいとき、高金利の借金までして投資継続はしない

 積み立て投資が資産形成上有利なのは、半強制的な自動積み立てを自分に課すことができること、そして相場の下落基調時に積み立てを継続し、その後の回復時に高利回り獲得の原資を得られることにあります。

 また、1万円分稼いでも、本来であれば税引き後8,000円分(税率20%の場合)になってしまう手取りを、iDeCoのように税制優遇のある制度であれば、まるごと1万円分積み立てて、将来の財産に変えられるメリットもあります。運用とすればおいしい特典です。

 しかし、拠出時の一度限りでもらえる25%の利回り(上記の例では8,000円の手取りのはずが、iDeCoに入金すれば1万円になり、25%の運用収益に相当する)を得たとしても、その他の生活費で困窮し、それ以上高金利の借金をしては元も子もありません。

投資のために借金して積み立て投資を継続したケース

 仮に年利15%の利息を取られるキャッシングやカードローンを利用したとします。月2万3,000円を積み立てつつ、同額の2万3,000円を月々借金し続けて1年が経ったとします。

 1年後、27.6万円の借金に利息を加味すると約29.6万円にもなってしまいます。返済に時間をかけるほど、利息はさらに積み上がります。

 つみたてNISAは所得控除のメリットはありませんから、運用収益が利息を下回っていればマイナスです。借金してつみたてNISA口座に入金した意味がないことになります。一方、iDeCoは今のところは所得控除のメリットが大きいものの、返済が長期に及ぶとメリットも失われていきます。

 特にiDeCoは原則として解約できないので(詳しくは「第3の選択肢:解約」)、「解約して返済する」こともできません。老後の貯金があるのに、目の前は借金、しかも利息は増え続ける、という状態になってしまいます。

 運用には高い利回りが期待できますが、標準的な分散投資に、借金の年利15%以上を期待するのは過剰です。また不確実性が伴う中、借金の利息は確実に発生することを考えるべきです。高金利の借金は、基本的に投資原資のトレードオフとならないことを覚えておきましょう。