本日の注目通貨

ドル/円: 

 FRBが最大2.3兆ドル(約250兆円)の大規模な資金供給策をNY株式市場が好感する一方、ドルは全面安に。9日のドル/円は東京時間の109.06円を高値にNY時間には108.21円まで下落。FRBの対策によってドル資金ひっ迫化が一段と解消に向かっていることも理由となりました。

 株価上昇による市場心理改善(リスクオン)が、ドル安/円高につながるという、これまでとは逆のパターンが見られます。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

ユーロ/円: 

 FRBがドル安政策(大量の金融緩和)を強力に推し進めているのだから、ユーロはドルに対して高くなるはずですが、そう素直にいかない事情があります。たびたび繰り返されてきた「南北格差」問題、そして「ユーロ崩壊危機」が新型コロナ対策を契機に再浮上しているからです。

 欧州では、新型コロナウイルス対策の資金調達のために、イタリア、スペインとフランスなど9カ国が、欧州共通の債券「コロナボンド」を発行するよう求めています。ところが、借金の肩代わりを嫌うドイツやオランダはこれを拒否。南北対立が表面化しています。

 イタリアが医療崩壊で苦しむなか、ドイツがイタリアに対して医療用のマスクや手袋、防護服などの提供を拒否したことも対立感情をあおることになりました。そのような時、中国は医療チームをイタリアに派遣。頼りになるのはドイツではなく中国だという意見も出てきて、ユーロ崩壊への火種となりそうです。

 EU(欧州連合)が経済対策に合意できなかった場合、失望によるユーロ売りが強まる可能性があります。ユーロがドルに対して評価されないのはこのような事情が背景。しかし、もしEUが、新型コロナによる経済危機を乗り越えるために債務の相互負担化やコロナボンド発行することに合意したなら、ユーロに対する評価は一気に高まることになります。

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