為替DI:新型コロナ不安 投資家は円高を予想

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

「4月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」

 楽天証券が3月末に実施したアンケートにご回答頂いた5,054名のうち、全体の半数を超える2,552名(約51%)が「円高に動く」と考えていることが分かりました。

 一方、1,110名(約21%)は「円安に動く」と考えています。「動かない(分からない)」は1,392名(約28%)。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 DI(円安見通しから円高見通しを引いたもの)は▲28.53で2カ月ぶりのマイナスになりました。

 BLS(米労働省労働統計局)が4月3日に発表した3月の米雇用統計は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で悪化するとは伝えられていましたが、結果は予想をはるかに超える「ひどい」ものでした。

 非農業部門雇用者数は▲70.1万人(予想▲10.0万人、前回+27.5万人)と2010年9月以来9年半ぶりのマイナス。失業率は4.4%に急上昇(予想3.8%、前回3.5%)。なかでも飲食産業は特に影響が大きく、就業者が41万人も一気に減りました。

 予想と結果のズレは、たいした問題ではありません。今では雇用統計を含めあらゆる経済指標が「予想不能」な状態だからです。そもそも、データを集計して発表する人が会社に来ることができないのですから。

 今回の雇用統計は、新型コロナウイルスが米国で流行しはじめた、3月中旬のデータが中心。ロックダウンが本格的に始まったのはその翌週からです。確実にいえるのは、来月の雇用統計が今月より悪くなるということです。データ集計作業ができずに発表が中止になる可能性さえいわれています。ブラード・セントルイス連銀総裁は、4-6月期の失業率は30%まで悪化する可能性があると警告しています。

 3月のユーロ/円の終値は1ユーロ=118.64円。2月の終値に比べて0.56円のユーロ安/円高でした。

 楽天証券が3月末に実施したアンケートにご回答頂いた5,054名のうち、全体の半数を超える2,825名(約56%)が、4月のユーロ/円は「ユーロ安/円高に動く」と考えています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 一方「ユーロ高/円安に動く」は606名(約12%)しかいませんでした。「動かない(分からない)」は1,623名(約32%)。

 ユーロ/円のDI(円安見通しから円高見通しを引いたもの)は▲43.91で2カ月ぶりのマイナスになりました。

 3月の豪ドル/円の終値は1豪ドル=66.03円。2月の終値に比べて4.28円の豪ドル安/円高でした。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券のアンケートにご回答頂いた5,054名のうち、2,250名(約44%)が4月の豪ドル/円は「豪ドル安/円高に動く」と考えています。

 一方「豪ドル高/円安に動く」は702名(約14%)でした。「動かない(分からない)」は2,102名(約42%)。

 豪ドル/円のDI(円安見通しから円高見通しを引いたもの)は▲30.63で2カ月ぶりのマイナスになりました。