3 日本航空(9201・東証1部)

▼どんな銘柄?
 航空業界の大手で、国内線、国際線ともに第2位。2010年1月に会社更生法の適用を申請して2月に上場廃止、その後、2012年9月に再上場を果たしました。

 金融機関に対する債権放棄、大型機の売却、不採算路線の縮小、大幅な人員整理などを実施したことで、再上場時のバランスシートは大幅な改善を果たしています。株主還元方針として、配当性向はおおむね35%程度を目指しています。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は第3四半期決算時に下方修正、1,400億円で前期比20.5%減益の予想となっていますが、新型コロナウイルスの感染拡大による旅行需要の減少、航空機の減便などを背景に、さらに数百億円は下振れの可能性があるでしょう。

 足元でも世界的な感染拡大が続いている状況下、混乱は夏頃まで続く公算が大きそうです。現状からは、2021年3月期も収益水準は半減程度に落ち込むものとみられます。

 羽田空港からの国際線ネットワークの大幅拡充効果は2022年3月期以降の寄与になりそうです。

▼ここがポイント
 配当・優待権利落ち直後の現タイミングは、個人投資家の関心が高まりにくいタイミングでもあり、さらなる新型コロナウイルス感染拡大の報道などに対する耐久力は弱いとみられます。下値リスクから、他の銘柄と比べると投資は先送りすべきでしょう。

 ただ、世界の航空機業界の中でも財務健全性は高いとみられ、2022年3月期には東京五輪開催効果も十分に見込めることで、収益も急回復するでしょう。グローバルで見た場合でも、航空業界の中で選別物色の対象になり得てくる存在と考えられます。

4 共英製鋼(5440・東証1部)

▼どんな銘柄?
 電炉業界大手の一角で、日本製鉄が筆頭株主になっている他、合同製鉄とも資本提携関係にあります。棒鋼に強い他、形鋼類も幅広く扱っています。建設用鋼材の国内主要4エリアすべてに製造・販売拠点を保有する唯一の電炉メーカーでもあります。

 また、国内電炉メーカーとして初めて海外に進出し、現在はベトナムと米国で事業を展開しています。2月にはカナダの鉄鋼事業資産買収も発表しています。

▼業績見通し
 第3四半期決算発表時に通期業績予想を修正、営業利益は165億円から185億円に上方修正し、前期比倍増となる見通しとしています。鉄スクラップ価格の低下によるマージンの改善で、国内事業が好調のようです。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で下振れは避けられないとみられますが、変化率の高さは注目される余地があるでしょう。

 ただ、2021年3月期は鋼材価格の下落によるマージンの低下がもともと想定されていた中、生産活動縮小による国内外での需要減少が加わり、2ケタの減益に転じる公算が大きいとみられます。

▼ここがポイント
 自己資本比率が約6割と高水準である他、収益の安定性は相対的に高い状況です。一方でPBR水準は0.3倍台に過ぎず、同業の東京製鐵の約0.7倍と比較しても株価の割安感は強いと感じられます。

 また、鉄鋼業界の環境が一段と厳しさを増す中で、日本製鉄を中心とした業界再編の余地が大きいことも将来的な注目材料といえるでしょう。

5 日本特殊陶業(5334・東証1部)

▼どんな銘柄?
 自動車部品では、スパークプラグで世界シェア45%、センサで同40%のシェアを占めています。他、半導体用のセラミック製品なども手掛けていますが、自動車部品が利益の大半を占めます。

 輸出比率が8割超ありますが、相対的に中国依存度は低く、欧州構成比が高くなっています。スパークプラグは補修用のウェイトが高いため、比較的収益水準は安定しています。

▼業績見通し
 2021年3月期営業利益は540億円で前期比7.5%減益の見通しとしていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による中国生産の減少、欧州販売の減少などを背景に、50億円程度の下振れがコンセンサスになっているようです。

 さらに、自動車部品の利益寄与度が大きいため、世界的な自動車生産の減少ピッチが速まっている現況下では、2021年3月期も連続減益が予想されます。業績悪化度合いは相対的に小さいといえますが、足元は業績伸び悩み局面といえましょう。

▼ここがポイント
 同社を自動車部品株として捉えた場合は、為替感応度が相対的に高いと位置付けられ、円安はメリットとなるでしょう。

 また、各国での自動車の環境規制導入時はセンサの売上拡大につながり、株式市場で注目されやすくなります。次の決算説明会では長期ビジョンが明らかにされるとみられていますので、自動車電動化への対応策が注目されることになります。