欧米での感染者数のピークアウトを確認する必要がある

 3月の日経平均は想定に反して壊滅的な急落となってしまいました。市場のボラティリティの高まりによって、投資ファンドのポジション整理の動きが一気に広がったことは予想外でした。

 日銀のETF(上場投資信託)買い入れ枠拡大も含めて、主要国で景気刺激策が相次ぎ表明されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大ペースが速まる中では、期待感を織り込むような動きは手控えられているとみられます。

 ここからの下値余地は小さいと考えますが、欧米での感染者数のピークアウトを確認するまでは、本格的な反発ステージには入りにくい状況でしょう。

 一方、新型コロナウイルス収束後も、当面、各国の大規模な金融緩和政策や景気刺激策は景気の十分な戻りが確認されるまで継続するとみられ、中期的に景気は急回復、オーバーシュートすることも考えられます。

 その際には株価も予想以上の上昇の可能性が想定されるでしょう。今後の経済指標の悪化に関してはおおむね織り込まれているとみられますので、欧米の感染者数ピークアウトが確認できさえすれば、中長期感覚で格好の押し目買い局面とも捉えたいところです。

 国内における外出自粛要請や生産調整が続いている中、大きなリスク要因となるのは企業の存続リスクでしょう。外食産業やイベント産業、製造業の部品会社などを中心に資金繰りが悪化する企業も表面化してくる可能性があります。

 また、こうした流れは今後、株価の急落が不動産市況に本格波及した場合、建設・不動産セクターなどにも顕在化してくる可能性があります。

 個別銘柄の物色においては、キャッシュポジションが豊富で自己資本比率が高いなど、バランスシートリスクが小さい銘柄に絞ることが肝要となります。