(3)配当利回りが高い銘柄

 株価の大きな下落により、配当利回りが高い銘柄も急増しています。筆者も、配当利回りランキングなどを参考に、利回り上位銘柄をチェックしてみました。

 ただ、上位銘柄は、今後新型コロナウイルスの影響などにより業績が落ち込む可能性が高く、それに伴い配当金の減額も懸念されるものがかなり多い印象でした。

 したがって、単純に利回りが高いものから順に選ぶのではなく、例えば今まで配当利回り2%台だったのが3~4%台に上昇していて、かつ業績の大きな悪化も見込まれず、配当金自体も増額傾向にあるような銘柄を選ぶとよいと思います。

 また、配当性向(1株当たり配当金が1株当たり利益の何%かを示す指標)が高い銘柄も、業績が少し悪化するだけで配当金が減額される可能性が高いので、避けた方が無難です。

 インカムゲインの観点で考えれば、REIT(リート:上場不動産投資信託)も選択肢となり得ます。先日、地方銀行のロスカットとみられる売りで急落しましたが、それにより利回りが急上昇したため、あっという間に価格が戻りました。REITの場合は不動産市況も価格に影響しますが、そうしたリスクがある分株式より利回りが高くなっているのも魅力の1つです。

買うタイミングは慎重に

 では、投資候補となる銘柄を見つけたとして、今すぐ買うべきなのでしょうか? 筆者は、今すぐ大量に買うのは早計だと思います。

 新型コロナウイルスの影響がない銘柄については、上昇トレンド入りを確認した段階で買ってもよいでしょう。筆者も、そうした銘柄はある程度買って保有しています。

 一方、影響がある銘柄については慎重な対応が必要です。確かに先週は日本株が一斉に反発しましたが、これは銘柄によっては単なるリバウンドにすぎず、今後さらなる株価下落の可能性も十分に考えられるからです。例えば決算発表などで業績悪化が明らかになっても株価が下がらないなど、業績悪化に対する耐性が見えてから買った方がよいのではないでしょうか。

 なお、配当利回りなどインカムゲインを目的に買う場合で、株価下落を容認できるのであれば、ご自身で満足できる配当利回りが得られるまで株価が値下がりしたところで買えばよいと思います。もちろん、さらなる株価下落のリスクはありますので、いちどきに買うことは避けた方が安全です。

 確かに株価の大きな下落は安く買う機会ではありますが、まだ株価の乱高下は続き、株価が底割れしてしまう恐れもあります。25日移動平均線を超えたら買う、というのは良いですが、全力で買い向かうのではなく、買った後株価が再び下がって損切りを余儀なくされるリスクも念頭に置きつつ、無理のない程度に買うことをお勧めします。

 筆者個人的には、株価の動きが落ち着くまでは、最大でも投資可能資金の30%程度にとどめておいた方が無難かな、と考えています。30%なら、買った後の株価急落による損切りでマイナス10%となっても、投資可能資金トータルからみた影響は30%×10%=3%で済みます。

 まだまだ株価がどうなるか予断を許しません。その一方で一旦の底打ちを果たした可能性もあります。今はいかに大きく利益を得るかよりも、いかに大きな失敗をしないか、を優先して行動をするようにしてください。