国内外の株式市場はまだまだ荒れ模様。でも、こんな時だからこそ、今から買うべき銘柄を探し、将来へ向けた準備をしておきましょう。

将来を見据えた銘柄選びを今からしておこう

 日本も海外も、株式市場はまだ波乱が続いています。ひところのような終わりのない下落…とまではいかないものの、毎日、日経平均株価が1,000円幅、NYダウも1,000ドル幅の変動が続くなど、ボラティリティが高い状況は当面継続しそうです。

 また、世界中で外出禁止令が出され、東京でも週末の外出自粛要請が出されるなど、しばらくの間自宅で過ごす時間が増えている人も多いはず。

 それなら、せっかくできた時間を、会社四季報を熟読するなど、将来買うべき銘柄を選ぶために費やしてみてはいかがでしょうか。

 確かに今は経済が大混乱、コロナウイルスの影響が終息に向かっても、景気悪化は避けられそうにありません。しかし、世界中で大規模な金融・財政政策を発動していますから、つらい時期を乗り越えれば再びの景気回復や、バブル相場の到来も大いに考えられます。

(1)業績が落ちない・伸びている銘柄

 今のように、新型コロナウイルスの影響がどの程度生じるのかが見えてこない中では、例えばPER(株価収益率)を使った銘柄選びは不向きです。将来の業績次第でPERが大きく変動してしまう一方、将来の業績を見通せない銘柄も多数あるからです。

 まずは新型コロナウイルスの影響を受けにくい銘柄や、逆に業績が伸びそうな銘柄を見つけてみましょう。

 短期的にはスーパー、ドラッグストア、中期的にはテレワーク関連、巣ごもり消費関連といったものが考えられます。

 株価急落局面では、ほぼ全ての銘柄が値下がりしましたが、3月16日の週で一旦の底打ちをした後は、銘柄により値動きがまちまちです。今後の業績に問題なさそうな銘柄は、すでに株価が大きく反発し、25日移動平均線を超えたり、年初来高値を更新するものも出ています。当然株式市場全体の動きには多少引っ張られるでしょうが、こうした銘柄はすでに底打ちを果たした可能性が高いとみます。

(2)コロナウイルスの影響が落ち着けば業績が回復する銘柄

 次に見つけておきたいのが、現在は新型コロナウイルスの影響をもろに受けているために、将来の業績悪化懸念から株価が大きく下落している銘柄です。

 こうした銘柄は、もちろん足元はボロボロですが、新型コロナウイルスの影響が終息すれば、業績は一気に回復する期待が持てます。そうなれば、当然株価も元の水準まで回復する可能性が高まります。

 例えば、飲食業やレジャー関連、ホテル、空運業などが挙げられます。

 また、サプライチェーンの寸断により、部品が納入されず製品が完成しない業種、例えば自動車とか家電、住宅設備などについても、部品の流通がスムーズになれば、業績の回復が期待できます。

 そして、おそらく今後景気も悪化すると思われますが、その後の景気回復局面では、いわゆる景気敏感株の株価も大きく反発する可能性が高いです。

 海運、鉄鋼、自動車、人材派遣関連など、多くの業種で景気回復により業績が向上すれば、株価上昇が期待できます。

(3)配当利回りが高い銘柄

 株価の大きな下落により、配当利回りが高い銘柄も急増しています。筆者も、配当利回りランキングなどを参考に、利回り上位銘柄をチェックしてみました。

 ただ、上位銘柄は、今後新型コロナウイルスの影響などにより業績が落ち込む可能性が高く、それに伴い配当金の減額も懸念されるものがかなり多い印象でした。

 したがって、単純に利回りが高いものから順に選ぶのではなく、例えば今まで配当利回り2%台だったのが3~4%台に上昇していて、かつ業績の大きな悪化も見込まれず、配当金自体も増額傾向にあるような銘柄を選ぶとよいと思います。

 また、配当性向(1株当たり配当金が1株当たり利益の何%かを示す指標)が高い銘柄も、業績が少し悪化するだけで配当金が減額される可能性が高いので、避けた方が無難です。

 インカムゲインの観点で考えれば、REIT(リート:上場不動産投資信託)も選択肢となり得ます。先日、地方銀行のロスカットとみられる売りで急落しましたが、それにより利回りが急上昇したため、あっという間に価格が戻りました。REITの場合は不動産市況も価格に影響しますが、そうしたリスクがある分株式より利回りが高くなっているのも魅力の1つです。

買うタイミングは慎重に

 では、投資候補となる銘柄を見つけたとして、今すぐ買うべきなのでしょうか? 筆者は、今すぐ大量に買うのは早計だと思います。

 新型コロナウイルスの影響がない銘柄については、上昇トレンド入りを確認した段階で買ってもよいでしょう。筆者も、そうした銘柄はある程度買って保有しています。

 一方、影響がある銘柄については慎重な対応が必要です。確かに先週は日本株が一斉に反発しましたが、これは銘柄によっては単なるリバウンドにすぎず、今後さらなる株価下落の可能性も十分に考えられるからです。例えば決算発表などで業績悪化が明らかになっても株価が下がらないなど、業績悪化に対する耐性が見えてから買った方がよいのではないでしょうか。

 なお、配当利回りなどインカムゲインを目的に買う場合で、株価下落を容認できるのであれば、ご自身で満足できる配当利回りが得られるまで株価が値下がりしたところで買えばよいと思います。もちろん、さらなる株価下落のリスクはありますので、いちどきに買うことは避けた方が安全です。

 確かに株価の大きな下落は安く買う機会ではありますが、まだ株価の乱高下は続き、株価が底割れしてしまう恐れもあります。25日移動平均線を超えたら買う、というのは良いですが、全力で買い向かうのではなく、買った後株価が再び下がって損切りを余儀なくされるリスクも念頭に置きつつ、無理のない程度に買うことをお勧めします。

 筆者個人的には、株価の動きが落ち着くまでは、最大でも投資可能資金の30%程度にとどめておいた方が無難かな、と考えています。30%なら、買った後の株価急落による損切りでマイナス10%となっても、投資可能資金トータルからみた影響は30%×10%=3%で済みます。

 まだまだ株価がどうなるか予断を許しません。その一方で一旦の底打ちを果たした可能性もあります。今はいかに大きく利益を得るかよりも、いかに大きな失敗をしないか、を優先して行動をするようにしてください。