マーケットは楽観的(今はまだ)

 しかし、マーケットが動揺しているのかというと、そうではありません。3月23日の週のNYダウ平均株価の上昇率は、1938年以来最大を記録しました。投資家が、トランプ政権とFRB(米連邦準備制度理事会)の新型コロナウイルス対策を高く評価していることの表れともいえます。

 失業率の急増は、「一時的」であり、新型コロナが終息すれば、再び強い雇用市場が戻ってくると(今はまだ)考えているわけです。カプラン連銀総裁の発言も続きがあって「(失業率は15%まで上昇する)けれど、年後半には8%台へ急低下する」ということです。8%の失業率が良いかどうかは別として、雇用市場の悪化は一時的、というのが現在の見方です。

短期ドル安、中期ドル高

 しかし、推測するのとリアルな数字を目の当たりにするのはまったく異なります。悪い予想のそのさらに上を行くのなら、短期的にはショックのドル売りで反応することも考えられます。特に新型コロナウイルス感染が全米に拡大中の現状では、今回が最悪とはいえないからです。

 しかし、経済が悪化するのは米国だけではないわけで、むしろ新型コロナが終息したといえる日が来たなら、体力のある米国が世界に先駆けて回復するという期待で、中期的にはドル高に動くと考えられます。

 当面の問題は、その日まで経済が持つのかということ。だから、トランプ政権とFRBが桁外れの大型対策を矢継ぎ早に打ち出しているのです。これは景気「刺激策」ではなく、景気が沈まないようにする「支援策」です。経済がどれだけ悪くなるかではなく、どれだけ早く立ち直れるかというのが、次のマーケットのテーマになるでしょう。