<質問3>なぜ相場はこんなに乱高下するのですか
市場は、上昇トレンドの中で投資家のリスク判断を飛躍的に甘くし、そこで形成された過大ポジションがまとまって利益確定売りに向かおうとすると、買い手不在という「出口の隘路(あいろ)化」に直面します。市場は好環境が続くほど、自ら暴落を誘発するメカニズムと言って過言ではありません。
これに便乗する投機筋(アルゴリズム取引やAI取引を含む)の売りも活発化します。市場のボラティリティ(変動率)が上昇し、リスクが高まる分、投機筋も一層敏感になります。相場下落の経済への影響が懸念されれば、政策対応も積極化し、投機筋はこれにも反応します(図4)。
相場の値幅が大きくなれば、市場での売り手と買い手の板も間延びし、値が飛びやすくなります。含み損を抱えた投資家は、好材料が出ても、それで相場が上がらなければ、失望売りに動くなど、材料への判断も乱れがちです。こうした事情で相場が乱高下すると、ボラティリティの変動に沿って動く投資戦略ファンドの売買が一層相場の動きを激しくすることも指摘されます。
逆に、市場内部のこうした事情で乱高下する相場のその場その場の動きを、政策対応が不十分とか、沈静化の兆しを好感してなどと解釈することも、見当違いになりかねないので、注意が必要です。
図4:相場急落後の激しい値動き