「事象」「不安」「対応」次第で、再び下落の可能性も

 続いて、「再び下落に転じる可能性はないのか?」についてです。図1を別の見方をすると、先週下げ渋った8×1ラインは、週足チャートのトリプル・トップの「ネックライン」の株価位置でもあります(下の図4)。

■(図4)日経平均の週足チャート(2020年3月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の値動きはあれだけの急落を見せながらも、ネックラインで下げ渋ったため、引き続きサポートとして機能する可能性は高いと言えますが、足元の相場は、「事象」「不安」「対応」の視点で捉える必要があります。

 新型コロナウイルスの感染拡大や原油安などの現在発生している「事象」に対して、景気減速や企業業績の悪化、信用リスクといった「不安」が高まり、金融・財政政策などの「対応」がどこまで事象や不安にあらがえるかといった構図です。

 厄介なのは、肝心の「事象」がまだ現在進行形で、三者の関係が不安定であることです。

 例えば、トランプ米大統領が先週の会見で、30日間にわたる欧州諸国からの入国制限の実施を発表し、株式市場が下落で反応しましたが、このように、新型コロナウイルスを抑制するために採った強硬な「対応」が、実体経済悪化の「不安」をあおってしまうこともあり得ます。また、「事象」が悪化することで、金融・財政政策などの「対応」に求められるハードルが上がってしまい、中途半端な内容ではかえって「不安」が高まってしまうということも考えられます。

 そのため、チャートの形状だけで見れば株価の下げ渋りと反発のイメージになりやすく、意外な株価反発を見せる場面もありそうですが、「事象」「不安」「対応」の掛け合わせが好転しなければ、簡単に下げてしまう展開になり得るため、足元の相場環境はかなり危うい土台の上に立っていることを常に警戒しておく必要があると言えます。