一方、現時点で、中国の他日本でも患者(中国の方)への投与が確認されているのが、リトナビルとロピナビルを配合した抗HIV薬です。

 この配合剤は、アッヴィ(ABBV)の抗HIV薬「カレトラ」とみられます。「カレトラ」に効果があると認められ利用が他の患者にも広がれば、同社の追い風になるかもしれません。仮にその可能性がなくなっても、同社の業績は堅調に推移しそうです。

 同社はアイルランドの医薬品関連企業アラガン(AGN)を買収しており、美容医療の「ボトックス」や統合失調症治療薬「カリプラジン」などの他、アラガンの後期開発医薬品を手に入れて新たな成長機会を得ました。

 アッヴィの代表的な医薬品、関節リウマチの治療などに使われる「ヒュミラ」の特許切れが近づいてきたことが問題になっていましたが、それを巨額の買収という手段で乗り切ろうとしています。

 今年は同社の思惑通りの成長ストーリーが描けるかを確認する年となりそうですが、バリュエーションに割高感が感じられないことから、株価の下落は限定的かと思います。(2020年の予想PERは10.9倍。2020年2月18日の終値93.61ドル、2020年の市場予想EPS8.56ドル。ギリアド・サイエンシズの予想PERは12.1倍。2月18日の終値67.01ドル、2020年の市場予想EPS5.54ドル)

アッヴィの株価(ドル)
期間:2月18日まで

出所:楽天証券ウェブサイト