米国株はトレンド転換のサイン、中国株は急落分を取り戻すも今後は不透明

 最後に、米国株と中国株の動きもチェックしていきます。

■(図4)NYダウの動き(日足の平均足)とMACD (2020年2月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4で米NYダウ平均株価の動きを見ると、平均足が陰転し、MACDがシグナルを下抜けるクロスが出現しており、トレンド転換のサインになっていることが分かります。他の指標(S&P500やNASDAQ)も同様となっているため、これまで好調だった米国株で軟調が続いた場合、日本株も下げ足を早める可能性があります。

 米国株は新型肺炎の影響が比較的少ないと見られていることや、金融政策への期待によって、まだ相場が崩れていないような印象ですが、先日発表されたPMI(購買担当者景気指数)の悪化にも表れているように、実体経済の状況が株価に反応しやすくなっている可能性があり注意です。

■(図5)上海総合指数(日足)の動き(2020年2月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 一方の中国株市場ですが、上海総合指数は節目となる3,000pを回復し、春節の休場明けに見せた急落分を取り戻しています。新型肺炎の影響はあるものの、中国当局による経済政策期待が不安を打ち消している格好ですが、まだ実体経済への影響度は不透明な中で、期待をかなり先取りしている可能性があり、さらに上値を伸ばすのは難しく、ここからは、ネガティブな材料に反応しやすくなる可能性があります。

 今後、国内外で発表される経済指標や業績見通しについても、そろそろ新型肺炎の影響が反映され始めることになるため、冒頭でも触れたように、「揺らいだ気持ちに対する実体経済への影響」の見極めや答え合わせがこれから本格化します。

 今週想定される株価の大幅下落は、その答え合わせの前にさらなる不安を先取りする動きと捉えれば、今が絶好の買い場という判断になります。各国の対策や金融緩和期待が支援材料になると思われますが、想定以上に新型肺炎の事態が長期化してしまえば株価の戻りには時間がかかりますし、そもそも、新型肺炎の影響による「ヒト・モノ・カネ」の経済停滞が懸念される中で、金融緩和でカネだけ動かしても、効果が限定的になることも考えられます。

 したがって、積極的な売買を仕掛けるにはかなりの勇気が要る相場局面に差し掛かったと言えそうです。