それでも好調な米国景気

 新型肺炎が中国や日本の景気に及ぼすマイナス影響は、予想以上に大きくなりそうです。それでも、世界景気が後退期に入る不安は、徐々に低下しています。米景気が好調だからです。米景気が好調な背景は、以下3点です。

【1】米企業が世界のITインフラを支配、第4次産業革命の恩恵を受ける

 IT活用の最先端で、第4次産業革命と言われる変化が起こりつつあります。2020年は、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)・ビッグデータ分析・ロボットの活用によって、世界的に産業構造の革新が加速する見込みです。これをバックアップする通信インフラとして、5G(第5世代移動体通信)への投資も本格化する見込みです。

 新型肺炎の影響で、5Gや半導体への投資は若干遅れるかもしれませんが、それでも第4次産業革命が世界的に進展していく流れは変わらないと考えます。

 グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなどの米IT大手は、世界のITインフラを支配しているので、第4次産業革命が進む恩恵を受け、成長が続くと考えています。米景気は、その恩恵から堅調を保つと予想しています。

【2】シェール・オイル&ガス革命の恩恵が米国に大きい

 米国はかつて、世界最大の原油輸入国でした。ところが、シェール・オイルの増産が続き、2018年には世界最大の産油国となり、原油を輸出するようになりました。かつて採掘することができなかったシェール層から大量のシェール・オイル、シェール・ガスを産出するようになった効果はとても大きく、米国経済の競争力を高めました。その恩恵が、今も続いています。この大きな変化を、シェール・オイル&ガス革命と呼びます。

【3】移民パワー

 米国は移民により人口が増加する国です。移民は当初、低賃金労働力として米経済を支え、貯蓄ができるとさまざまな消費財を買い、有効需要の拡大につながってきました。

 ただし、好調だった米国株も24日には、急落しました。当面、調整局面が続く可能性があります。