(3)債権国・債務国間圧力

 ショックによって国際金融が鈍ったり滞ったりする場合、資金繰りに窮して脆弱(ぜいじゃく)化しやすい債務国通貨に対して、日本円やスイスフランなど債権国通貨が上昇しやすくなります。今回の新型肺炎問題でも、総じて債務国通貨の脆弱さが目立ちます(図4)。ただし、これら債務国は、資源など一次産品の輸出のウエイトが高く、中国の景気減速を警戒する商品相場の下落の影響を受けている国々が少なくありません。その点で、国際金融の滞りによる債権国・債務国間圧力というより、ファンダメンタルズの変化、ないし変化への思惑による市場の反応をきちんと評価する必要があります。

図4:新型肺炎に対する主要資源国・新興国通貨の反応

出所:Bloomberg Finance L.P.