新型肺炎の影響が表面化

 1月末以降、一貫して新型肺炎感染の悪影響、特に中国から遠いイメージのセクターや銘柄を注視することにしています。

『公共投資関連10万円株。26兆円経済対策の恩恵、災害対策で需要堅調』(2020年1月27日

『新型肺炎の波乱局面で選ぶ10万円株。IT・ゲーム関連株に注目』(2020年2月10日)

 いかに中国とつながらないセクターや銘柄であっても、全体相場が波乱となれば、もちろんその影響は免れません。しかし、事態が鎮静化に向かった場合に、まともに影響を受けるセクターや銘柄に比べ、株価見直しの動きが強く出るのではと考えています。

 現在、さまざまな分野で新型肺炎の影響が表面化しています。日本の完成車メーカーでは中国工場の稼働を止めるケースが相次いでいます。今後、国内工場の部品の調達にも影響が出てくる気配が濃厚です。

 上海・深セン・蘇州・広州に7店舗を展開していた居酒屋チェーンの「ワタミ(7522・東証1部)」は、新型肺炎の影響は長期化が見込まれ、中国経済の先行きも不透明になっているとして2月6日、中国からの撤退を発表しました。

 国内でもインバウンド消費の割合が大きい企業に動きがあります。免税店を全国で展開する「ラオックス(8202・東証2部)」は子会社と合わせて希望退職を160人規模で募集すると明らかにしました(2月14日)。同社は中国人観光客を中心とする「爆買い」に陰りが出たことですでに売り上げが伸び悩んでいましたが、今回の新型肺炎がダメ押しとなった格好です。 

 株式市場ではこれら「リストラ策」が好感されるケースもありますが、この2銘柄の初動ではそういう動きはありません。

ワタミ(7522・東証1部)の3カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

ラオックス(8202・東証2部)の3カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)